「縄跳び」が自然法則に反した運動であることをご存じですか?
人間はジャンプをする時に、無意識に腕を振り上げて勢いをつけます。垂直跳びや幅跳びもそうですよね。でも縄跳びだけはジャンプをするとき、縄を回すために腕を振り下ろす運動なんです。
子どもは自然な動きをしようとするのに、縄跳びは運動自体が不自然。思った通りに動いても上手には縄を跳べない。こうして子供たちの身体と頭は混乱します。
そう、子どもに縄跳びを教えるのは難しいんですよ。
- 一般的に練習する年齢が低く、言語理解力が追い付かない
- 大人もなぜできないかが理解できない
- 単調な練習に集中力が続かない
この記事は縄跳びができなくて苦しんでるお子さん、縄跳びの教え方がわからずに悩んでいる大人向けに書きました。
ぜひお子さんと一緒に、練習する参考にしてください。
[toc]前とびに適した縄跳びを選ぶ
まずは前とびに適した縄跳びを選びます。間違った道具を使うと、上達を妨げてしまうので注意しましょう。
オススメの縄跳びは「ビーズロープ」
縄のまっちゃんがオススメしたいのが「ビーズロープ」です。でも、あまり聞き慣れない名前ですよね。ビーズロープとは写真のような数珠つなぎでビーズが通してある縄跳びのことです。
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はじめて前とびを練習する子どもは回す感覚をつけるのが大切。ある程度の重さがあり、空気抵抗の大きい縄跳びを使うと、感覚が掴みやすくなるんです。
しかもビーズが地面にぶつかる音でリズムが掴みやすく、カラフルで子どもも楽しんで練習ができますよ!
ヒモ・布製の縄跳びは上達を妨げる
いまだに幼稚園・保育園で「ヒモ」のロープを使ってるところがあるんですが、布製の縄跳びはオススメしません。ヒモは軽すぎて回しにくい上、回転が付きにくいので失敗しやすいんですよ。
そもそもヒモ製の縄跳びは目的が違くて、電車ごっこやヒモ遊びをするために考えられています。縄跳びをとぶのには適していません。
どうしても指定の縄跳びなら仕方ないですが、できる限りビーズの縄跳びを選んであげましょう。
前とびの練習ステップ
では順番に前とびの練習を始めましょう。お子さんは大人に見てもらえると上達が早まりますので、ぜひお家の方が一緒に練習してくださいね。
障害物を飛び越える
まずは縄跳びをする前に、ロープや箱を飛び越える遊びをしてましょう。モノに合わせてジャンプをするのは、向かってくる縄跳びを飛び越す感覚を養います。
走って飛び越えるのは長縄の練習にもなります。慣れてきたら縄跳びや棒など障害物を動かして飛び越えてみましょう。
遊んでいるうちにドンドン上達してきますよ!
縄跳びを跳ばずに、前にまわす
つぎは写真のように縄跳びを後ろから前に移動させる練習をしてみましょう。このときはまだジャンプをしません。
とくに5歳~6歳の子どもは「回す」と「ジャンプ」が一緒になってしまうので、ジャンプをしないように注意しながら練習してくださいね。
足の前にある縄跳びを飛び越える
縄跳びを足の前まで回したら、下の写真のように動かさずに飛び越えてみましょう。
ここでポイントになるのは両腕の位置です。ジャンプをするときに腕を動かさないように飛び越えてみましょう。
冒頭でもあげたように腕を使わずにジャンプをするのは不自然な動作です。子どもにとってこの動きは初めての経験になります。
腕が動いて上手に縄跳びを飛び越えられないときは、大人が縄跳びを地面で押さえてあげてください。何回か練習すればすぐにできるようになりますよ!
縄跳びを連続でとんでみよう!
上記の2つができたら、いよいよ縄跳びを連続でとぶ練習に挑戦します。
まずは、縄跳びをまわすよ!
つぎに、縄跳びを飛び越えるよ!
これらのアドバイスをかけてあげてください。とくに初めのうちは回す・ジャンプが一緒になってしまいやすいので注意しましょう。
1回でも跳べたら、再び前に回して続けましょう。
ゆっくり回してとぶを繰り返していくと、徐々に動きがスムーズになって縄跳びを連続で跳べるようになります。
連続で飛べない苦手な子への声かけのコツ
縄跳びを教えるのが大変なのは、できない子供とぶつかってしまうからです。
でもこれ、あなただけじゃありません。お子さんと一緒に練習するのは簡単なことじゃないのです。
大変だというのを承知した上で大切なのは、思いっきり褒めて認めてあげることです。できるだけネガティブな言葉を掛けず、頑張りを褒めてあげましょう。
あなたがネガティブな言葉をかければ、子どもはネガティブな態度で返します。
あなたがポジティブな言葉をかければ、子どもはポジティブな態度が返します。
時間はかかるかもしれません。他の子と比べて遅れて焦る気持ちもあるでしょう。でもここは我が子を信じて、跳んだ回数を数えてあげましょう。
もどかしい事もあるかと思いますが、焦らずに見守ってあげてください。
前とび教え方のコツとワンポイント
子どもは集中力が続きません。子どもだから仕方ないですよね。ここでは上達を助けるコツや集中力を持続させるワンポイントを紹介します。
リモコン持ちで正しくグリップを握ろう
4-5歳の子どもには、縄跳びを正しく握れていない子も少なくありません。
写真のように親指を立てて、リモコンのボタンを押すように握りましょう。この持ち方をリモコン持ちといいます。
逆にじゃんけんのグーのように親指を握り込んではいけません。これだと力が上手に伝わりませんので、必ず親指は出してグリップにくっつけてくださいね。
程よく力も抜けてスムーズに回しやすくなります。
縄跳びにおもりを付ける
ロープを回す感覚をつけるために、縄跳びにおもりを付けてみましょう。写真のようにトイレットペーパーの芯を通すだけで簡単に作れます。
ビーズロープは重さがあるので良いのですが、ヒモ製やビニール製の縄跳びは軽すぎるんです。またどこでジャンプをするかの目標物ができるので跳びやすい。
音も出て子どもが楽しめるのでオススメですよ!
縄跳びなしでジャンプの練習をする
両足ジャンプが安定しないときは、大人と一緒に手を繋いでジャンプをしてみましょう。年上の兄弟がいる場合は、お兄ちゃんお姉ちゃんでも良いですね。
体が触れ合った状態だとジャンプのリズムを掴みやすくなります。
またジャンプと腕を切り離す効果もあるので、子どもが前とびの練習に飽きてきたら一緒に動いてみてくださいね。
縄跳びで上手な「ジャンプ」をするために気を付けたいポイント | なわとび1本で何でもできるのだ
縄跳びに新聞紙を巻いてみる
すごく突拍子もない練習ですが、縄跳びに新聞紙を巻いて練習する方法があります。ロープの柔らかい部分が減ることで、回す感覚をつかみやすくなるのです。
3歳~4歳の子供は柔らかい縄跳びに上手に力を加えられません。
新聞紙を巻くことによってちからの伝え方が理解しやすくなるのです。
縄跳びが新聞紙で上手になる!?ユニークな前とび練習法を紹介 | なわとび1本で何でもできるのだ
縄跳びにラップを通してみる
どうしてもヒモ製の縄跳び練習をしなければいけないとき、写真のようにラップの芯、もしくはトイレットペーパーの芯を通す練習があります。
ラップの芯を通すことでロープが重くなり遠心力が生まれます。すると回転させる感覚をつかみやすくなるのです。
あくまで応急処置的な練習方法ですので、可能ならば飛びやすいビーズロープを使いましょう。
二人とびをしてみる
1本の縄跳びで一緒に跳ぶ「二人とび」をしてみましょう。大人が回してあげればリズムも掴めて、上達を手助けできます。
このとき、回す人の体の一部に触りながらやってみてください。不思議と体が触れ合ってるだけでお互いのリズムが伝わるんですよ。もしくは洋服の裾を掴ませてあげても良いですね。
前とび練習でとても大切なヤル気を維持させるには、誰かと一緒にするのが一番なんです。
縄跳びは何歳からとべるのか?
なわとびを初めて持つのは学校や地域によってマチマチです。
小学校の体育で初めて練習する人もいるし、通っている幼稚園・保育園によっては3-4歳の年中から縄跳びをする場合もありますよね。
縄跳びの練習は4~5歳、年中~年長でスタートするのがオススメです。
3歳でもできないことはありません。しかしまだ個人差が大きい年齢のため、早生まれのお子さんだと難しいことも。また理解力や集中力も未熟なため、焦って3歳でやらせることはないでしょう。
4歳~5歳になると大人の指示を理解できるようになります。また運動能力も縄跳びをとぶのに十分発達していく子が増えていきます。
関連記事:縄跳びはいつから練習させる?子供の成長に合わせたタイミングとは | なわとび1本で何でもできるのだ
縄跳び上達のための基礎知識
縄跳びを上手に飛ぶためのコツをまとめていきます。
縄跳びの長さや道具選びはもちろん、練習場所や服装も大切なポイントとなりますので、順番に確認してみましょう!
縄跳びの握り方はリモコン持ち
縄跳びは写真のように親指を立てた「リモコン持ち」にしましょう。
持ち方が違うとロープにうまく力が伝わらず、失敗の原因になります。とくに4-5歳で初めて縄跳びを飛ぶ子は、下の写真のように親指を握り込んでしまうので注意しましょう。
縄跳びの長さと調整方法
縄跳びの長さの目安は、両足で縄跳びを踏んで肘を90度に曲げた長さになります。
関連記事:縄跳びの長さの決め方と調整方法
子供はとくに縄跳びが長すぎるケースが多いんですよ。調整せずにそのまま使っているからなのか、長いロープをブンブン振り回してるんです。あれじゃ上達が遅れてしまいます。
大人も長過ぎる縄跳びを使うと地面に跳ね返って引っ掛かる原因になるので、適切な長さに調整してから使い始めましょう。
肘をくっつけて!手首で回して!は間違い
「肘をくっつける!」「手首で回す!」の2つは間違いです!!!
実際にやってみるとわかります。肘を体にくっつけた状態で手首のスナップで回してみてください。ギコチナクなって、縄跳びが回せませんよね?
肘が身体にくっつくと動きが制限され、しかも手首を使おうとすると余計な力がロープに加わってしまうんです。
縄跳びを教えるときにこの2つをいう人が多いのですが、どちらも上達を妨げる恐れがあるので注意してください。
肘を体にくっつける
手首のスナップを使ってまわす
脇をしめるけど、身体にはくっつけない
手首は力を抜いて固定し、あまり動かさない
縄跳びをするときの靴
とくに屋外のコンクリートやアスファルトで練習する時は注意が必要です。連続ジャンプの負担は想像より大きく、膝や腰を痛める原因にもなります。
軽くてクッション性の高いランニングシューズなどがオススメです。
縄跳びを飛ぶ服装
袖や裾の長い服装だと引っ掛かる原因になるので、できるだけ半袖やハーフパンツなどを着用しましょう。
関連記事:縄跳び練習のときの服装と注意点
ただ冬場で寒い時は長袖が欲しいですよね。そんな時は脱ぎ着ができる服装で、フードのないものを選びましょう。
縄跳びは全身運動なので冬でもしっかりと汗をかきます。はじめは寒くても徐々に暑くなるので、体温調整がしやすい服が良いですね。
練習場所は室内がベスト
連続ジャンプを繰り返す縄跳びは足への負担が大きな運動です。可能なら練習は体育館などの床が衝撃を吸収する室内で行いましょう。
関連記事:縄跳びはどこで練習する?練習場所で気をつけたいコト
どうしても屋外しか場所がない時は、せめて表面のなめらかな場所で練習してください。ザラザラなコンクリートの上だとロープが摩耗し、断裂の原因になります。
またワイヤーロープは絶対に外では使ってはいけないので注意してくださいね。
縄跳び技の練習方法と上達のコツ
前とび以外のに縄跳びの技の上達方法を紹介します。前跳びができるようになったら、少しずつ難しい技に挑戦してみましょう。
きちんと練習すれば誰でも上手になれるのが縄跳びです。焦らず練習してみてくださいね。
交差跳びの練習方法とコツ
前とび→交差跳び→前とび→交差跳びと順番に繰り替えるのが「あやとび」で、交差のまま連続で跳び続けるのが「交差跳び」です。
交差跳びは交差する腕の位置を確認し、ただしく回せるようになるのがポイントです。まずは跳ばずにまわすだけの練習からスタートしてください。
関連記事:交差跳びのコツと教え方:練習方法を動画を付きで解説
あやとびの練習方法とコツ
よく勘違いされるんですが、まずは交差跳びの練習をして、次にあやとびの練習をしたほうが上達が早くなります。
あやとびは交差するタイミングと戻るタイミングを掴むのが大切です。また腕を交差するときにきちんとお腹にくっつけ、目線を下に落とすことで大きくバッテンを作ることができます。
関連記事:あやとびの練習方法。上達のコツとつまずきポイントを説明
二重跳びの練習方法とコツ
二重跳びを飛ぶには、前跳びが上手にできる必要があります。具体的には10秒間で25回以上とべるようになると、二重跳びの練習をスタートさせても良いでしょう。
二重跳びにを飛ぶには「まわすタイミング練習」と「縄の長さ」が重要です。
高いジャンプの練習をする人もいますが、あまりジャンプ力は必要じゃありません。むしろジャンプでタイミングよくロープを加速させられるコントロール力のほうが重要です。
また縄跳びは短いほうが回転効率が良くなります。ちょうどいい縄跳びの長さにしただけでスグに二重跳びがとべることもあるので、長さは少しずつ短くしていくといいでしょう。
また二重跳びの連続記録を目指す人は、縄跳びの選び方に注意します。グリップが短くてできるだけ疲れずに回せるモノを選びましょう。
二重跳び連続100回を飛べれば、学校では一躍有名人。子どもにもガッツリ自慢できますよ!
関連記事:二重跳び連続100回を目指そう!練習のコツと縄跳びの選び方
はやぶさの練習方法とコツ
はやぶさとは、前とび・交差跳びを一気に回す二重跳びのことです。別名であや二重ともいいますね。
小学校で扱う技の中では最も難易度の高い技の1つで、はやぶさができれば小学校でヒーローですね。出前授業で小学校に行くときも必ず「はやぶさやって!!」と言われるので、子供たちの憧れも大きいのでしょう。
とはいえ、ちゃんと練習すれば5-6歳でも飛べるようになる技なので、ぜひ挑戦してみてください!
関連記事:はやぶさの練習方法と上達のポイント
交差二重跳びの練習方法とコツ
交差の状態で二重跳びをする技で、小学校だとおそらく一番難しい技に分類されます。
また別名や通称の多い技としても有名で、地域や学校によって様々な名前で呼ばれています。
- 交差二重跳び
- つばめ
- リットル
- たか
- わし
- ゾンビ
- 戦車
- ゼロ戦
- 大車輪
全部が同じ名前とは思えないほどですが、一番難しい技だからこそ難しい名前をつけよう!という学校の先生の意気込みなのかもしれせん。
練習は二重跳びからではなく、交差跳びから入ると案外簡単にできます。入り方さえ間違えなければ「はやぶさ」よりも簡単なです。
関連記事:交差二重跳びの練習方法とコツを紹介
三重跳びの練習方法とコツ
三重跳びは小学校によっては扱わない場所もあります。二重跳びのさらに1回転多いのが三重跳びです。
小学校高学年でも跳べるのは僅か数人、先生ですらできない人がほとんどです。小学校でとべたらヒーロー間違いなしですし、全国大会に挑戦するレベルでもありますね。
三重とびをするには二重跳びが20回は飛べたほうが良いでうね。またロープをできるだけ短くしましょう。最初の1回を跳ぶまでは可能な限り短くするといいです。1回目を飛んでからは少し長くして練習し、徐々にちょうどいい長さに調整していきます。
またビニール縄跳びより高速回転できる「ワイヤーロープ」を使うとやりやすくなります。
関連記事:三重跳びのコツと練習方法、飛びやすい縄跳びの選び方
参考図書と紹介したなわとび
縄跳びを練習するとき、大人と一緒に練習するのが一番の上達のコツです。
1人で黙々と練習を続けるなんて大人だって大変ですから。成功を一緒に喜んで、失敗を一緒に悔しがる。少しずつ上達するのを子供と一緒に楽しんでみてください。
あなたが笑顔になる瞬間こそ、子どもが最高の笑顔を見せる瞬間ですから。
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この記事に練習方法に具体的な課題を盛り込み「なわとびカード」としてまとめました。子供の自然な上達を促し200人以上が実践したカードです。