こんにちは!
縄跳び伝道師のまっちゃん(@macchan8130)です。
世界のなわとび業界が注目している「IJRU(International Jump Rope Union)」の最新版のルールの、第3案が公開されました。
Technical Congress News — IJRU
次回の世界大会から準拠される競技規則ということで、国内のなわとび競技者も知っておきたい内容です。
現段階で読み取れる要点をまとめておきましたので、ルール理解の参考にしてください。
[toc]競技種目とカテゴリー
新しい競技ルールで実施される種目を一覧にしました。個人戦と団体戦に分けてそれぞれ見ていきましょう。
年齢制限とカテゴリー分け
【IJRUの新ルール(草案)のポイント5】
性別・年齢によるカテゴリー・WC個人戦は12-14、15以上の男女別の合計4カテゴリー
・WC団体戦は12ー14、15以上の男女混合の合計6カテゴリー
・ショーフリースタイル、ダブルダッチトリアッドは混合のみ★重要★年齢は大会開催年の8月31日を基準にする
— 日本なわとびアカデミー(JJRA) (@NawatobiAcademy) 2019年5月14日
個人戦(単縄)
【IJRUの新ルール(草案)のポイント1】
単縄個人戦の種目は次のとおり・30秒スピード★
・3分スピード★
・3重跳び
・フリースタイル★※★のついているものが総合種目になる
— 日本なわとびアカデミー(JJRA) (@NawatobiAcademy) 2019年5月14日
団体戦(単縄)
【IJRUの新ルール(草案)のポイント2】
単縄団体戦の種目は次の通り・スピードリレー(4x30秒)
・ペア二重跳びリレー(2x30秒)
・ペアフリースタイル
・チームフリースタイル※全種目が総合種目になる
— 日本なわとびアカデミー(JJRA) (@NawatobiAcademy) 2019年5月14日
団体戦(ダブルダッチ)
【IJRUの新ルール(草案)のポイント3】
ダブルダッチの種目は次の通り・スピードリレー(4x30秒)★
・60秒スピード(1x60秒)★
・シングルフリースタイル(3人)★
・ペアフリースタイル(4人)★
・トリアッドフリースタイル(5人)※★のついているのが総合種目
— 日本なわとびアカデミー(JJRA) (@NawatobiAcademy) 2019年5月14日
その他追加種目
【IJRUの新ルール(草案)のポイント4】
その他の追加種目・マルチホイールフリースタイル(2名で75秒以内)
・ショーチームフリースタイル(8-20名で300秒以内)— 日本なわとびアカデミー(JJRA) (@NawatobiAcademy) 2019年5月14日
単縄の難度点の採点方法
次に細かい採点の方法を見ていきましょう。
難度点の採点方法は大きな変化はなく「基礎レベル」+「付加レベル」で決定されます。ただ、一部の基礎レベルや付加レベルの付け方が変化しました。
技レベルの決め方
【IJRUの新ルール(草案)のポイント7】
単縄の難度の付け方~その1~・基礎レベル+付加レベルで決まるのは同じ
・片手制限のトード、クルーガがレベル1に。TJとジャーミーはレベル3に下がる
・両手制限のAS、CLはレベル2のまま
・クロスでレベル+1が廃止、ハヤブサと交差二重もレベル1— 日本なわとびアカデミー(JJRA) (@NawatobiAcademy) 2019年5月14日
各技の基礎レベル
【IJRUの新ルール(草案)のポイント8】
単縄の難度の付け方~その2~★各基礎レベル★
・2重跳び=1,3重跳び=2、・・・
・側転/ロンダート=1、転回/跳ね起き/スーサイト=2、宙返り=3
・片手制限(トード・クルーガ・EB)=1、両手制限(AS、CL、TS)=2— 日本なわとびアカデミー(JJRA) (@NawatobiAcademy) 2019年5月14日
【IJRUの新ルール(草案)のポイント9】
単縄の難度の付け方~その3~★各基礎レベル★
・基本的なリリース=1、スネーク(?)や両手リリース=2、ラッソ(?)=3— 日本なわとびアカデミー(JJRA) (@NawatobiAcademy) 2019年5月14日
付加レベルが取れる動き
【IJRUの新ルール(草案)のポイント10】
単縄の難度の付け方~その4~★レベル+1になる動き①★
・270°以上回転する技(EKなど)
・360°以上は180°まわるごとに+1
・クロスでパワー系を抜く
・プッシュアップで着地
・ドンキーで着地は+2
・パワー系をしながら90°以上ひねって続ける— 日本なわとびアカデミー(JJRA) (@NawatobiAcademy) 2019年5月14日
【IJRUの新ルール(草案)のポイント11】
単縄の難度の付け方~その5~★レベル+1になる動き②★
・クロスクロス
・クレイジークロス
・縄の進行方向変化(EKは同じなのでダメ)
・片手制限でリリースキャッチ、投げ、手以外でキャッチ— 日本なわとびアカデミー(JJRA) (@NawatobiAcademy) 2019年5月14日
【IJRUの新ルール(草案)のポイント12】
単縄の難度の付け方~その6~★レベルが特例的に上がるもの★
・跳ね起き、ハンドスプリングで着地前に縄を引き抜く=6
・バク転で着地前に縄を引き抜く、KAMIKAZE FROG=7— 日本なわとびアカデミー(JJRA) (@NawatobiAcademy) 2019年5月14日
ダブルダッチの難度点の採点方法
続いてダブルダッチの難度点の採点方法をみていきましょう。
ダブルダッチも基本的な技レベルのとり方に大きな変化はなく「ジャンパーのレベル」+「ターナーのレベル」で決定されます。
各技の基礎レベル
【IJRUの新ルール(草案)のポイント13】
ダブルダッチの難度の付け方1★基礎レベル★
縄を跳ばないパワー=1
ドンキー、プッシュ、スプリット=2
跳ね起き、補助ドンキー、お尻とび、キャタピー、背中ジャンプ=2
バク転、両足ドンキー、ラビット・バックドンキー、ダブルシフト=3— 日本なわとびアカデミー(JJRA) (@NawatobiAcademy) 2019年5月14日
【IJRUの新ルール(草案)のポイント14】
ダブルダッチの難度の付け方2★基礎レベル★
側転、ロンダート、前転、後転=2
ハンドスプリング、バク転、スーサイト=3
宙返り=3— 日本なわとびアカデミー(JJRA) (@NawatobiAcademy) 2019年5月14日
【IJRUの新ルール(草案)のポイント15】
ダブルダッチの難度の付け方3★ターナー基礎レベル★
片手制限まわし、チャイホ=1
簡単なリリース=1
素早いシャー、チャイホでシャー=1両手制限まわし、パワーをしながら、体操技をしながら=2
両手リリース=2— 日本なわとびアカデミー(JJRA) (@NawatobiAcademy) 2019年5月14日
付加レベルが取れる動き
【IJRUの新ルール(草案)のポイント16】
ダブルダッチの難度の付け方4★レベルが増減する動き★
ドンキー、プッシュをしながら90°以上ひねる
片手ドンキー、片手プッシュ
パワー系の技で人を飛び越える
体操系の技で人を飛び越える=+2
補助のパワー・体操系=-1— 日本なわとびアカデミー(JJRA) (@NawatobiAcademy) 2019年5月14日
プレゼンテーションとリクエレ
今回大きく変化したのがプレゼントリクワイヤードエレメント(リクエレ)ですね。項目も採点方法も変化しているので注意深く確認しましょう。
プレゼンテーションの採点方法
【IJRUの新ルール(草案)のポイント17】
プレゼンテーションの採点方法1・プレゼンは(選手点)と(構成点)の2つに分かれる
・選手点では、技術点として選手自身の動きを評価する
・構成点では、エンターテイメント点と音楽点として演技構成自体を評価する— 日本なわとびアカデミー(JJRA) (@NawatobiAcademy) 2019年5月14日
【IJRUの新ルール(草案)のポイント18】
プレゼンテーションの採点方法2(選手点)技術点では下記の6項目を採点する
1.上半身の姿勢
2.下半身の姿勢
3.技同士のつながりの滑らかさ、縄の形
4.着地と力強さ
5.正面の意識
6.チームフリーでの協調とシンクロ— 日本なわとびアカデミー(JJRA) (@NawatobiAcademy) 2019年5月14日
【IJRUの新ルール(草案)のポイント19】
プレゼンテーションの採点方法3(エンタメ点)エンタメ点は下記の7項目を採点する
1.客席への意識
2.演技の面白さ
3.技のバリエーション
4.移動
5.スムーズさ
6.オリジナリティ
7.わぉ!が起こったか— 日本なわとびアカデミー(JJRA) (@NawatobiAcademy) 2019年5月14日
【IJRUの新ルール(草案)のポイント20】
プレゼンテーションの採点方法4(音楽点)音楽点は下記の4つの項目で採点する
1.ビートにあっているか
2.音楽と演技の関係性
3.音楽の独自性・エンタメ性
4.スタートと終わり— 日本なわとびアカデミー(JJRA) (@NawatobiAcademy) 2019年5月14日
リクワイヤードエレメントの採点方法
【IJRUの新ルール(草案)のポイント21】
リクエレの採点方法・演技内で入れなければいけない要素で、不足分は減点になる
・技の難度は関係なし
・チームの場合は全員で実施しないと採点対象にならない— 日本なわとびアカデミー(JJRA) (@NawatobiAcademy) 2019年5月14日
【IJRUの新ルール(草案)のポイント22】
リクエレの項目<単縄>
多回旋 4つ
体操/パワー 4つ
ラップ/リリース 4つ
インタラクション 4つ ★団体のみ<ダブルダッチ>
ターナースキル 4つ
体操/パワー 4つ
1人ジャンパーで4技以上
インタラクション 4つ ★ペアフリーのみ— 日本なわとびアカデミー(JJRA) (@NawatobiAcademy) 2019年5月14日
IJRUルールの第3案をみた雑感
ザーッとルールの要点をまとめてきましたが、ここからは縄のまっちゃんの個人的な見解です。
どれも協会からの公式発表ではないので、ふーんぐらいの軽い気持ちで読んでくださいね。
年齢区分の基準日が変わると何が起こるか
これまでは大会開催年の12月31日現在の年齢によってカテゴリー年齢が決まっていました。しかし今回のルールでは大会開催年の8月31日現在の年齢に変更されています。
どういう事が起こるかを、たとえば2020年の世界大会を例に考えてみましょう。
- 2008年3月生まれのA君
- 2008年12月生まれのB君
旧ルール ⇒ 二人とも2020年12月31日では12歳なので、出場OK
新ルール ⇒ A君は2020年8月31日で12歳なので、出場OK。
B君は2020年8月31日にはまだ11歳なので出場できない
つまり、2019年4月に5年生になった学年の人で4月~8月生まれの人は世界大会に出場できて、9月~3月の人は出場ができません。
もともと早生まれの1月~3月は出場できませんでしたが、さらに学年内で出場できない人の幅が拡がってしまうイメージですね。
単縄がアクロバット偏重のルールになっている
難度点の付け方やリクエレの項目を見ると、アクロバットへの偏重が見られます。
とくに多回旋に入れる交差やT.J.のレベルが引き下げられたことを考えると、相対的にアクロバットの方が難度の高い技をやりやすい仕組みになっています。
たとえばレベル7の技をする場合を考えてみましょう。
- バク転で着地する前に縄を引き抜く=レベル7
- SEBOOCL(5重跳び基礎4+EB1+CL2)=レベル7
どちらが難しいか?はなんとも言えませんが、、、
バク転が上手できちんと倒立姿勢で止まれる人なら、バク転から縄を引き抜くのは難しくありません。一方でSEBOOCLは5重跳びの超絶技ですので、できるのはホンの一握りのトップ選手だけですね。
つまり、しっかり体操の練習をしている人には難度が取りやすいルールになると言えそうです。
ダブルダッチのアクロバット偏重は相変わらず
単縄以上のアクロバット偏重はダブルダッチの難度点です。もはやアクロバットをしないと難度点を取るのは不可能です。
ジャンパーレベルとターナーレベルで難度点は決まりますが、ジャンパーレベルはアクロバットをしないとほぼレベル1です。
日本でよく見る「面ハリー」「3倍スピード」「音にハメたダンス」あたりでは、残念ながら難度点は取れません。
またターナーレベルも「片手制限」「両手制限」「リリース」がメインなので、ロイヤルダブルダッチのような超絶ロープ操作も、残念ながら難度点には入りません。
ダブルダッチはアクロバットをしないと難度点が取れない
世界大会に予選ラウンドと決勝ラウンドができるかも
ルールに「大会の上位6名(チーム)がFINALに進むことができる」という記載がありました。
これまでの世界大会は各国の代表が一気に競技をしていましたが、もしかすると予選ラウンドと決勝ラウンドのような仕組みができるかもしれません。
たしかに各国3名ずつだと人数も多くて、見ている人も大変でしたからね。World Jump Ropeで行われている「Grand FINAL」のようなイメージで、決勝ラウンドを創るのはアリかもしれません。
一方で気になるのが、各国が選抜できる代表人数です。
ルールでは各国の代表が何名までという記載がありませんでした。もしかすると、World Jump Ropeのように参加するのは誰でもOKで、決勝ラウンドに進出するのは大変だよ!という仕組みにする可能性があります。
こうなると各国の代表選抜予選の意味がなくなってしまいますが・・・
まだ公式発表はないので、今後の動向にに注目です。
まとめ
最終的なルールは2019年の7月に公開される予定なので、今回の第3案のルールもまだまだ変更される可能性はあります。
それでもIJRUの方向性と意図はなんとなく読み取れる箇所がありました。オリンピックを目指しているなわとび競技ですが、このルール施行されてどのような大会になるか楽しみです。
個人的には、アクロバットでばかり評価される競技にはなって欲しくないなぁと願っています。