なわとびコラム

パフォーマンスは、アイディアと人に見せる意識とのせめぎ合い。

こんにちは!

縄跳びパフォーマーのまっちゃんです。先日開催されたオンライン単縄パフォーマンス大会「Jumping1」をライブ配信で見ました。

教え子も数名出場していたので、こちらの応援も含めてオンライン大会の可能性や単縄パフォーマンスの方向性みたいなものをボンヤリ考えていました。

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Jumping1(The Skills hack)とは?

Jumping1とは、単縄(=1本の縄跳び)のオンラインパフォーマンス大会です。事前にエントリーされた動画をYouTubeライブ配信で視聴しながら、その場で審査が行われるという新しい形の大会です。

【 新イベント「JUMPING-1」とは? 】
海外では”SINGLE ROPE”も”DOUBLE DUTCH”も、実は”JUMP ROPE”という一つの括りなのだそうです。
​ダブルダッチを、単縄を、そして日本のなわとびをもっともっと広げ、世界へ伝えたい。
​かつてない”融合”を目指し世界基準のJUMP ROPEを発信するために。

その第一歩であるイベント『JUMPING-1』が今夏スタートします。

引用:Jumping1 YouTubeチャンネル

 

これまでの大会との違い

これまで全国オンラインなわとび大会をはじめ、多くのオンラインでの縄跳び大会が開催されてきました。多くのオンライン大会との大きな違いは、YouTubeライブ配信とパフォーマンス中心の大会だったことかなと感じています。

他のオンライン大会も事前にエントリーされた動画を審査して採点されるのですが、ライブ配信で一緒に動画を視聴する体験まで踏み込んだイベントは有りませんでした。

ライブ配信ゆえに視聴者とのコミュニケーションがインタラクティブに行われるので、オンライン大会の中でもよりリアルに近いイベントだったのかなと感じています。

また単縄=計測のイメージが強く、実際の審査もやりやすいことから、過去のオンライン大会の多くが計測種目がほとんどでした。そこをパフォーマンスに特化したのは新しいチャレンジだったと思います。

大きな話題を呼んだジャッジ

これは自分も見ていてスゴイなぁと思いました。ジャッジの中に「にゃんこスター」のアンゴラ村長さんが入っていたんです。

なわとびの大会にまさかタレント(芸人)が来るというのは、正直誰も想像していなかったのかなと。

 

単縄パフォーマンスの方向性

大会の企画やイベントのコンセプトは、話題性や趣旨など大きな影響を単縄の人たちに呼んでいたのがSNSでもよくわかりました。

一方で単縄のパフォーマンス「そのもの」については色々と考えさせられるなぁと感じています。

単縄パフォーマンスには下地(カルチャー)がない

ダブルダッチと単縄は頻繁に比較されます。ダブルダッチはストリートカルチャーが下地にあり、とくにブレイクダンスとの関係が強いと聞いたことがあります。

衣装や音楽、振り付け、演技構成の方法などもスタート地点の下地があるのがダブルダッチです。一方で単縄にはこれがないんです。

海外の場合は体操と強く結びついている事が多く、競技ルールや服装なども体操競技に寄っている傾向があります。

ただこれは競技としての縄跳びの話で、パフォーマンスに関しては下地になるものが存在しない。つまり、単縄パフォーマンスをやろう!と言われても、競技の下地しかない単縄は、どうしても競技の下地に依存しながらパフォーマンスを作る人が多くなってしまうのです。

競技のカルチャーからの転換期

いまの単縄パフォーマンスは、転換期にあるのかなぁ?と個人的に感じています。色んな種類のパフォーマンスが登場してきて、パフォーマンスの目指すものはなにか?を各人が模索している状況なのかなという印象です。

何でもありって、実はいちばん難しいんです。

競技なら点数や順位が客観的につくのでわかりやすいです。でもパフォーマンスっていうのは正解がないゆえに、どうしたらいいか?の一歩目を進めるのがすごい大変。

でもこの混沌とした状況を経験してこそ、薄ぼんやりと単縄パフォーマンスのカルチャーみたいなものが生み出されていくのかなと感じています。

一般大衆に広がるパフォーマンスとは

またこれを書くと老害だって言われそうなんですが、個人的願望として「人に見てもらう意識のあるパフォーマンス」を作る人が増えると嬉しいなぁと感じています。

このアイディア面白いよね!!だけで披露するのも内部向けの発表会としてはアリだと思います。でもそれってコアな玄人好みというか、一般大衆にウケにくい。違う表現で言えば内輪受けになる可能性があるんです。

アイディアは素材です。素材をどう活かすか?の部分が単縄パフォーマンスにもほしい。

一般の人達は単縄の技も知らないし、これまでの変遷とか知識もない。それでも一般の人が一見しただけで「おぉーー!」と感情を動かすような単縄パフォーマンスが増えたら嬉しいですね。

ここにはアイディアはもちろん、全体がパフォーマンスとしてコーディネートしていく必要があるのかなと思っています。

パフォーマンスの価値観

自由な発想とアイディアなんだから、こっちは楽しんでやってるんだから、人様のパフォーマンスにとやかく言うな!!!という種類の人がたまにいるんですが、それって少し違うなぁと思うんです。

パフォーマンスって他者に評価されてナンボだと自分は考えていて、プラスの評価は受け取るけどマイナスの評価は受け付けないという状況ってマズイなぁと感じます。

一般大衆に広がっていくようなパフォーマンスを目指すなら、人に見られて評価される道は避けて通れません。どれだけオブラートに包んだとしても、好き、嫌いの評価は付いてしまう。

評価を受けたくないなら、それこそ小さな井戸の中で披露しあってお互いにポジティブな意見を言い合えば良いだけのこと。ただこれは今回の意図するパフォーマンスとはスタート地点の価値観と方向性が違うんです。

お笑い芸人や他のジャンルのパフォーマー、サーカスの世界だって同じです。何やったって良いけど、面白けれが評価されるし、ツマラなければそこまで。評価をするのはあくまで観客や世間なんです。

これやってみたい!は1つのゴール

このパフォーマンスすごい!自分もやってみたい!!!と思わせるのは、1つのゴールの形じゃないかなぁと考えてます。

次世代が憧れるモノを創っていくこと。これはシンプルにやジャンルの広がりを作っていくんです。今回のJumping1の中だと、Toaくん(@toa0624)の演技はまさに1つのゴールの形だったのかなと感じてます。

 

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まとめ

 

Jumping1は過去のオンライン大会とは一線を画するイベントだったのは間違いありません。このイベントを通じて多くの人が単縄パフォーマンスに触れて、ダブルダッチ・単縄の垣根を越えて交流が広がったのだろうなぁと感じてます。

運営の方は大変だったとは思うのですが、第2回が開催される予定?とのことだったので期待したいですね。

また、単縄パフォーマンスはこれからも模索の期間がしばらく続くと思います。

次世代が憧れるようなアクトがたくさん生まれ、より多くの人が単縄パフォーマンスを楽しむ日が来るのを楽しみにしています。