シルクドソレイユアーティストの日常

広い会場でソロ演技をするために必要な「意識」の話

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photo by Kris Krug

こんにちは!縄跳びパフォーマーの粕尾将一(@macchan8130)です。

オーランドの近くにあるタンパという街にVarekaiを見に行きました。

去年の中旬にラヌーバ休演時にオーランドに来て以来、約1年ぶり。新たにマイケル・ジャクソンのイモータルに出演していたチームの「男子新体操アクト」も加わり、まぁ日本人アーティストの多いこと!!ww 全シルクドソレイユのショー中で一番日本人が多いんじゃないかな?

Varekaiを見たあと、うちのディレクターとこんな話を。

たしかにバトントワリングのArisaさんは素晴らしかった。今更ながらこの違いを分析してみて、改めてソロで大きなステージに立つ時のポイントが見えた気がしました。

シルクドソレイユの客席は広い

シルクドソレイユは1500-2000人を収容する大きな会場で公演をします。Varekaiのようなアリーナショーだと、それこそ3000人とか5000人規模の会場もあるといいます。

広い会場でも近くの人に迫力が伝わりやすい。だって近いんですから。でも遠く座席だと「表情」や「細かい動き」が見えづらい。これを越えて遠くまで伝えられる力。これこそソロのパフォーマンスに必要な要素です。

シルクドソレイユではこうした「迫力」や「伝わる力」のことをエナジーと表現します。エナジーが強い、弱い、なんて感じで使います。

では、このエナジーってどうやったら強くできるのか。Arisaさんの演技を見ていて感じたのは、外に向ける意識でした。

意識を外側に飛ばせるか

演技中は難易度の高い技や良い動きをするため自身に意識を入れます。でもそれだけじゃ半分。Arisaさんはもう半分の意識を外側に飛ばしていました。客席がどこにあるのか、照明はどこから当たっているか、ステージ上はどんな展開か…こうした外に向けられた意識です。

誰かの視線を感じると思わずそっちを見てしまいますよね?これと同じで、人は見られてると感じるとこちらも見てしまう。Arisaさんはこの「視線を感じる状況」を何千人にも客席に向けて生み出していたんです。

この点、自分はどうしても「技」や「キャラクター」といった内側に意識が向いてしまいます。また客席に意識を飛ばすにしても、特定の場所にばかり詰め寄ってしまう。すると見えやすい位置、すなわち近場の客席にしか意識が行かないんです。

また技に集中していると「外」に向ける意識がどんどん薄くなっていく。技を間近で見れる位置なら「技」からエナジーを感じてもらえますが、遠くの客席だとそうはいきません。

Arisaさんはステージ立っている間、常に「見られている」「動きを見せている」という意識があったのだと思います。。

おわりに

Arisaさんの演技から外に意識を飛ばす重要性について分析して、これは「演技の自分を俯瞰できる力」ではないかと考えました。

ステージで演技している自分と、客席から覚めた目線で見下ろしている自分。この二面性を持つことが、外側へ意識を飛ばすための鍵なのでは?と考えています。

「見てくれ!見てくれ!!」と衝突していくのではなく、自然と客席から意識を集めて繋がれる状況。この状況を生み出す力が、1000人を越える広い会場でソロの演技をするのに大切なのだと思います。