あなたの学校はなわとびカードを使っているだろうか?
【なわとびカード】
達成した縄跳びの技や回数を埋めていく学習カード。
小学校の冬の体育の風物詩にもなっている。
今でも各地の小学校の授業で利用されていて実際に使った人も多いはず。
縄跳びカードは上達するのに効果的だ。子ども自身で成果を確認できるしマス目がシールで埋まっていくのは楽しい。自分もなわとび教室で教えている時に活用していた。
だが一方で、なわとびカードにはあまり知られていない落とし穴がある。
やり方を間違えれば技術の二極化や子どものヤル気を削いぐ元凶になるので注意したい。
なわとびカードがヤル気を削ぐ?
なわとびカードと言えば先に挙げたサンプルのような感じを思い浮かべる方が多いと思う。それぞれの技に対して何回連続で跳べるかを確認するシステムになっていて、回数だけでなく時間で区切ることもある。
先に挙げたサンプルをもう一度見ていただくと、上から9つの技が並んでいる。その横には回数の記載と跳び方の説明。
一部の子どもはこうしたなわとびカードに意欲的に取り組む。それは上手な子ども達。彼らには説明もコツも必要ない。彼らは自主練習を重ねてより高難易度の技へチャレンジを続けることだろう。
しかし大半は途中で挫折する。二重跳びや交差とびでつまずき自分で頑張ってもできるようにならない。かと言って練習方法もよく分からない。仕方ないので出来る技の回数を伸ばすが、あるところまできたら埋められるマスが無くなる。
意欲的に自主練習を重ねる上手な子どもは、クラス全体で言えば上位30%程度。それ以外の70%の子ども達はイヤイヤ取り組むか、授業を放棄して時間が過ぎるのを待つだけだ。
なぜこのような現象が起こるのか?それは、
なわとびカードが単なる技の羅列なっているからだ。
よく見れば技の名前と跳び方が紹介されているだけで、このカードの中には何一つとして練習方法やコツが書かれていない。さらに酷いと「ゾンビ」や「十字架跳び」などと謎の名称が羅列され、パッと見では何の技なのかすら不明なケースもある。これで子どもに意欲的に取り組めというのは、少々乱暴であろう。
技の並びが実はテキトー
先ほど挙げたカードにはもう1つの落とし穴がある。技の並びが実はテキトーなのだ。
考えてみて欲しい。
「まえとび」の次に「うしろとび」は何となく理解できるが、なぜ「交差とび」の次は「二重跳び」なのだろう?交差とびと二重跳びの課題はまったく異なる。きっと感覚的に簡単な技から難しい技へ並べたのだろうが、残念ながらこの感覚はあまり正しくない。
小学校で扱う縄跳びの技は、大きく2つの技術に分けられる。
それぞれ「順回旋」「交差回旋」の2つで、くだけて言えば「開いて回す」か「交差で回す」ということになる。たとえば、かけあしとびや片足とびはこの順回旋に分類される。んでもって普通の交差とびやあやとびはもちろん交差回旋だし、交差の状態ででかけあしやとびをやるのも交差回旋。
順回旋と交差回旋にはそれぞれ別の技術が必要で、順回旋が上手になれば交差回旋が上手になるというものではない。だから交差とびと二重跳びは技術的にほとんど関係ないし、交差とびの次に入れるなら交差二重のほうが技術は近い。
技術の発展段階が考慮されていないのだから、①ができれば②ができるようになるといった仕組みではない。上から順に練習していっても前後の関係性は殆ど無く、1つずつ順番に練習する以外に上達の方法がない。
じゃ、どうしたらいいのさ??
さすがにこれだけ問題提起したので、いくつかアイディアをご紹介。
連続技を入れてみる
過去に訪問した学校で拝見しとても効果的だと思ったアイディア。
技の反復回数を数えるのではなく、2つ以上の技を組み合わせて跳ぶようなカードを作成する。たとえば「まえとび4回」「片足跳び4回」「まえとび4回」「グーパー跳び4セット」という具合だ。この手法の良いところは連続で跳んだ記録ではないこと。連続技の成功か失敗かで評価できるので、丁寧に跳ぶことを促し熟練度向上に繋がる。
技の種類を横に増やす
小学校体育では二重跳びを早くやらせすぎだと思う。まえとびが100回跳べても二重跳びが出来るとは限らない。大切なのは熟練度なのだ。連続して跳べるのも1つの熟練度だけど、これだけでは心もとない。
そこでオススメなのは「ステップ系」と呼ばれる技をなわとびカードに沢山盛り込むこと。上記の分類で言えば「順回旋」の技を、ともかく沢山の種類やらせる。かけあし、片足、ケンケンパー、グー、チョキ、パー、振りあし・・・他にも以下のページを参考に探してみて欲しい。
スピード計測を取り入れる
二重跳びやなど1回のジャンプで2回以上まわす技は早く回す練習が効果的。
そこで10秒や30秒間で何回跳べるかといった項目を作ってみよう。二人一組で回数を数えさせれば準備運動にもなるし、目に見えて記録が伸びていくのでヤル気も起きる。
まえとびだけでなく、あやとび、交差とび、かけあしとびなどのバリエーションも可。
縄のまっちゃん式「なわとびカード」を創りました
自分は小学校の時になわとびカードが大好きだった。
マス目を埋めていくのが楽しく明けても暮れても縄跳びを持っていた。これは世代を超えても同じでなわとび教室で取り入れた時は絶大な効果を生んだ。一方で取り残される生徒も浮き彫りになり教室内の二極化が問題になった。
なわとびカードは教える方も子どもにも有効な教材なのは間違いないのだけど、使い方を間違えると思わぬ副作用を産んでしまう。
ぜひ、子どものヤル気を増幅させるような「なわとびカード」を作っていただきたい。
縄のまっちゃん式なわとびカードを創りました!!