この世界に入ってから大きな影響を受けたアーティストが2人いる。
一人は短期で縄跳びアクトに入ってくれた「Thomas」
もう一人は自分をクラウンの道へと誘ってくれた「Balto」
この二人を勝手に師匠として尊敬して、
彼らから数えきれないほどたくさんの事を学ばせてもらっている。
そんな師匠の一人、
ラヌーバで15年間クラウンを演じた、Baltoが先週の土曜日を持って引退した。
忘れもしない2年前のワークショップのあと。
あの時のBaltoの言葉が、今の自分を支えている。
「16時間(4日x4時間)のワークショップを観てきたが、WinnerはShoichiだったぞ!」
師匠として、クラウンとして尊敬しているだけじゃなくて、Balto、もといMichelleという人間が大好きだ。
いつも気にかけてくれる優しさは忘れない。
中でも一番濃密だったのが去年の5月から9月にかけて。
誰が見ても無謀だったオーディションへ挑戦を提案したところ、
Baltoは快く協力してくれて、毎週プライベートの時間を割いてくれた。
シルクドソレイユオーディションへの道のり【0章】 決めた!9月にオーディションを受ける – なわとび1本で何でもできるのだ
Baltoの言葉があったからCabaretにも挑戦したし、
無謀なオーディションにだって立ち向かおうって思えた。
幸か不幸か、師匠の最後のステージは怪我でアウト。
最後の晴れ舞台を客席から見届けることができたのは幸せだったが、
一緒の舞台に立つ機会がもう無いのかと思うと、悔しくて切ない。
★★
先週の土曜日はお別れパーティがシアターで開かれた。
みんなはBaltoを囲んで泣いたり写真撮ったりしてるけど、なぜかうまくBaltoと会話できない。
何というかBaltoがもう居なくなってしまうって実感が湧かなかったのだ。
色々話ししたかったけど、言葉が出てこない。
日々のショーの前、
準備運動をしているとアニメーションのために客席に行くBaltoと毎回すれ違った。
お互いにここで下らない話や真剣な話、クラウンについてのことなど、お喋りをするのが日課だ。
時計を見てていつもの時間になるとドアが気になる。
いつもみたいにBaltoがあのドアからShoichi〜〜って叫んで入ってくるんじゃないかって。
でも誰も来ない。
この瞬間、ようやく実感が湧いた。
あー、もうBaltoもSelgeyもここには居ないんだって。
★★
先週まではシアターに行けば会えた。
いつもの場所、いつもの時間に必ず会えた。
今度からは少し遠くなってしまった。
でもしばらくはモントリオールに居るらしいので、飛行機に乗ればスグに会いにいける。
寂しさと消失感を埋めるにはしばらく時間がかかるかもしれない。
でもBaltoが教えてくれた「笑い」で、乗り越えていこう。
そして近い将来、成長したShoichiのクラウンを見せられるよう、
今から頑張らなきゃ。
ありがとうBalto。