シルクドソレイユアーティストの日常

勝手に滲み出してこそ個性。ラヌーバ「なわとびアクト変革計画」 第一弾

ラヌーバのなわとびが、改変に向けて少しずつ歩き始めた。

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先週の契約更新で訪問していた「Senior Artistic Director」という上司の上司。
この仕事の人は複数のShowのクオリティに関して責任を持つ人で、
ときにShowの内容を改変することを要求してくる。

今年から人事異動で変わり新しい人がこのポジションに着任。
新しい人は自分の考える「良い」を打ち出すため、しばしばShowの内容が改変されるのだ。

実はこの新しい人は再着任の人間で、
3年前、ラヌーバでラートとなわとびを入れ替えるときにもSenior Artistic Directorだった人だ。
みんな面識もあって、懐かしい再開って感じ。

こんな状況のものと、
彼の指示により「ラヌーバのなわとび改変計画」が立ち上がった。

大きく改変するのは3つの柱。
まだShowで実施されていない事柄は伏せなきゃだけど、
さっそく先週から「柱」のうちの1つが実施された。

「なわとびアクトのキャラクター変革」だ。

補足:
これまでキャラクターっていうと「Showでのキャラクターという役割」だったけど、
実は強弱こそあれ、全てのアーティスト、アクトで「どんな人物像か」っていうキャラクター設定がある。
Koozaでいうトリックスターみたいに強烈な個のキャラクターもあれば、
個別にアクトごとに設定されるキャラクターもある

これまで紆余曲折あって去年の衣装変更をキッカケに、
「楽しげに跳ぶ」「ダンスバトルのような掛け合い」
をイメージしたキャラクターになった。

Senior Artistic Directorは、このキャラクター設定からメスを入れた。

当初、衣装が変更になる前は「ラートと同じイメージ」のキャラクターだった。
それは端的に「無機質な労働者」と表されていて、
笑顔やアピールはしない方向性。

彼はそんな当時の印象が強かったのだろう。

「笑顔を出さず、冷たい戦う者」
「サムライ・兵士」

こんなキャラクター像が求められた。

これ、いままで自分がやってきたキャラクターとは、まるで正反対。
まさに「表裏」の関係になる。

だけど、これはこれで興味深いんだよね。

当初、キャラクターって一人に付き、ひとつだと思ってた。
でも実際にはそんなことなくて、人には色んな顔があるのと同く、
色んなキャラクターを創造することが出来るって気付いた。

奇しくも、全力でキャラクターとは何か?ってのを考えている時期。
これまでのキャラクターは直接的には使えなくなっちゃうけど、

いいタイミング。

キャラクターを考えること、それは自分を掘り下げることに直結。
意識の奥底に追いやられてた経験とかを引っ張り出す。

ステージ上で「すーっと自然にキャラクターに入る」まではまだ時間掛かるけど、
新しい試みにじっくり取り組んで行きたい。