なわとびパフォーマーの仕事論

スポーツを「表現」と結びつける3つの視点と過程

こんにちはー。縄跳びパフォーマーの粕尾将一(@macchan8130)です。

自分は大学で表現運動と教育を専攻していました。というのも、師匠のパフォーマンスを見た時からずっと、縄跳びと表現の可能性に興味を持ってたんです。

でもいざ表現といっても、範囲が広すぎて大変。単に技を組み合わせて音楽を流すだけを表現とは思えません。じゃ、何が縄跳びを表現したらしめるのか。

子どもに縄跳びを教え、自らもステージに立ち続けてきました。この経験を通じ、スポーツである縄跳びが表現に繋がる道筋が見えてきました。

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「揃える」から関わるへ

人に何かを伝えるのが表現です。それには伝える相手に繋がる必要があります。ゆえに、コミュニケーションが表現の基本になるのです。

人と関わる、人と繋がる。ステージの場合は共演者や観客とのコミュニケーションも含まれてきます。

こうした誰かと関わることが、表現のスタートになるんですよ。

関わる方法の一つに「揃える」というのがあります。縄跳びでいうとシンクロなわとび教材がコレにあたりますね。

二人以上で縄跳びをして、動きをピッタリ合わせます。二人の呼吸が合えば、ジャンプだけでなくロープの回転までピッタリ一致するんです。これ、身体を使ってコミュニケーションをしている瞬間なんです。

察する、状況を読む

表現は時間に沿って流れていきます。流れを無視した表現は効果的に伝えることが出来ず、ひどい時は表現空間をぶち壊してしまいます。そう、空気を読む能力は表現において重要なんです。

たとえば「スティックトス(棒を投げ合うゲーム)」という課題があります。円になって数人で棒を投げるだけのゲームなんですけど、ここにも場の空気が生まれます。

まずは投げる相手とのコミュニケーション。いきなり棒が飛んできたらキャッチできませんよね?「今から投げますよ!」という何からのアピールなり伝達がなければ棒は落っこちてしまうんです。

次に投げる相手。複数の中で特定の相手同士で投げ合うのは…おそらく難しいでしょう。自然と均等にバラけるように投げるようになるんです。

すると「いつ来る?」と構えるようになる。この瞬間、投げる人・キャッチする人・観察する人の三役が生まれます。

さらに進めば集団のリズムが生まれます。「合図→キャッチ準備→投げる」というコミュニケーションが連続的に発生して、この一連の流れが似たリズムを生み出します。

リズムが生まれたことを感じ、リズムを崩したことを察する。この状況を繰り返し経験することで、表現に必要な状況を読む能力を養うことができるのです。

先読みをする

リズムを掴めれば状況を察することができるようになります。すると先読みができるようになるんです。

この状況には、共演者がこう反応するだろう。自身のこの表現には、こんな反応が帰ってくるだろう。そう、ここまで来ると表現の駆け引きができるようになるんです。

この感覚がつかめると面白いですよ。広い意味で表現の場で応用ができるんです。

たとえば会話。この内容ならこの反応が来るかな?と先読みをしながら会話を組み立てることができる。逆に今は出ないほうが良いタイミングでは会話から一歩引くこともできる。

スピーチでも同じですね。あなたの話があいてにどう届いているかがビンビン感じられます。相手が飽きてるなぁと感じたら、アドリブでも入れてみる。イケそうならジョークの一つでも入れてみる。

聴衆や観客とのコミュニケーションが上手くできれば、リズムを掴み状況似あわせた表現をすることができるのです。

おわりに

先読みができれば、常識的・一般的な正解の表現をあぶり出すことができます。この状況では、普通ならこう反応するよね?という。

つまり「あえてズラす」が可能になる。

どれほど伝える力がある内容であっても、伝え方が単調になれば少しずつ力が弱まっていきます。意図的なズレは違和感を生み緩急を作ります。緩急は減速した伝える力を蘇らせるスパイスになるんです。

縄跳びパフォーマンスを表現たらしめるのは、このやり取りが出来ることだと思ってます。