縄跳びパフォーマーの日常

リアルに勝る説得力はない。Summit of Ropesで先入観を取り払おう。

こんにちはー。 縄跳びパフォーマーの粕尾将一(@macchan8130)です。

日本の縄跳び発展は世界的にみて、かなり特殊です。

1990年台に日本に取り入れられてからというもの、ダブルダッチと単縄(一人跳び)が別々に発展してきたんです。

競技が盛んな諸外国だとすべての縄跳びを一緒にやります。単縄、長縄、ダブルダッチ…どれも同じ「Jump Rope」として一緒に取り組むのが常識なんですよね。なので日本的な「ダブルダッチだけ」「単縄だけ」という話をすると、揃って不思議そうな顔をします。

ただ・・・この流れは少しずつ変化しています。ダブルダッチと単縄がもっと寄り添って、融合して、お互いに高めあおうじゃないか!という風潮が高まってるんです。

この流れを象徴するイベント「Summit of Ropes」が2016年2月20日(土)に新宿で開催されました。

ダブルダッチ、単縄が仲悪いワケじゃない

まず最初に確認しておきたいのは、お互いに仲が悪いわけじゃありません。同じロープで繋がった仲間同士。大会やイベントこそ違えとこれまでも協力体制を取ってお互いの発展に協力してきました。

しかし、ダブルダッチと単縄が触れ合う機会はほとんどなかったんですよ。それぞれに目指す大会やイベント違うため、一堂に会する!という場面が少なかった。なのでお互い少なからず誤解や先入観みたいなものがあるんです。

たとえばダブルダッチから見た単縄は、ストイックな競技者と思われてます。さらにいえば「パフォーマンス性は二の次」というのがダブルダッチから見た印象のようです。

反対に単縄からは「怖い」「近づきにくい」という印象を持っています。一人ずつ関わればスッゴイいい人ばかりなんですけど、どうしても見た目の先入観で近寄りがたい印象を与えているようです。

こうした勘違いや先入観を少しでも払拭してお互いのいいところを取り入れよう!が、今回の「Summit of Ropes」の趣旨でした。

単縄IPPONバトルという新たな試み

当日のIPPONの様子

今回はダブルダッチの審査員、そして単縄IPPONバトルの出場者としてイベントに関わりました。なかでも歴史的に大きな一ページだったのが「単縄IPPONバトル」です。

単縄IPPONバトルではジャッジから「お題」が出されます。「はやい」とか「セクシー」とか。30秒以内のひとネタで、これらのお題に応える。そして三名のジャッジが全てIPPONの旗を挙げれば、出場者はIPPON獲得です。

いうなれば「縄跳び大喜利」ですね。

ここでは上手・下手はあまり関係なく、いかにお題に対して瞬間的に、かつ機転のきいたネタを出せるかが重要です。

一緒に後輩たちのアイディアや発想には何度もハッとさせられました。IPPONバトルだと競技だけの人は、むしろルールに動きや発想が縛られて不利になるんですよ。この点、今回の出場者は猛者揃いで厳しい戦いでした。

ただしここは大会。手加減一切無用の全力で、後輩を叩き潰して優勝させてもらいました。

観てもらう、が大きな一歩

実をいうと、単縄の人もダブルダッチをよく見てます。大会に観戦しに行ったり、イベントで一緒になったり。単縄がダブルダッチを見る機会は何かと多いんですよ。

でも、ダブルダッチの人が単縄を見る機会ってほとんどないと思うのです。

一部の単縄好きやを除いては、意図的に大会や映像を見に行かないと触れる機会すらありません。噂や映像でチラッと見たことがある程度、な人が増えてるのではないでしょうか。

この意味でSummit of Ropesでダブルダッチの人が単縄を観る機会があったのは、とても大きな一歩なんです。まずは観てもらう。そして知ってもらう。リアルの単縄に触れることで、先入観やイメージが変わる人もいると思うんです。

お互いが交流せずに先入観を膨らませれば、フトした時に「誤解」や「すれ違い」が生まれます。同じロープでつながってる仲間同士なので、これではモッタイナイ。まずお互いをリアルに知ること、が寄り添って融合する第一歩になるのです。

おわりに

ダブルダッチと単縄が独自の発展をしたことで、日本は世界に誇るトップレベルになりました。しかしその背後で「あいつはダッチだから」「あいつは単縄だから」と必要以上の壁を作る動きも生まれてしまった。

そりゃ違いはあります。けど、違いは違いのままで良いじゃないですか。

2020年の東京オリンピックに向け、さらに縄業界の動きが活発になることが予想されます。

ダブルダッチも単縄も、お互いの強みを活かしあって今後も発展できたらいいですね。