シルクドソレイユが教えてくれた大切なコト

シルクドソレイユのアーティストは、実はショーに「飽きる」という事実

こんにちはー。
縄跳びパフォーマーの粕尾将一(@macchan8130)です。

シルクドソレイユでは、週に8-10回のショーが公演されます。公演内容は基本的に同じ。稀に振付や照明に手直しが入りますが、ベースとなる部分はほとんど変わりません。

とくに自分の出演している常設ショー*1の場合、出勤時間もショーの時間にも変化はありません。世界中をサーカスで旅する、ということも無いです。

ちょっとだけ想像してみてください。この環境で週5日で10回、年に450回以上の公演をしたら「飽きる」と思いませんか?

ショーには変化が少ない

夢を壊してしまいそうですが、これは事実です。多くの場合、ショーに出演はじめて3ヶ月程度で演技に慣れ、飽きが始まります。早い人は1ヶ月程度で飽きてしまう…なんてアーティストも居るんだとか。

ただ、これは仕方ない。なぜなら日々のショーには変化がないんですよ。シルクドソレイユからは一定の水準の演技が求められます。でもそこをクリアすれば、あとは繰り返しの連続。しかも、意外とシルクドソレイユ側から「新しいこと」を要求される機会は少ないんです。

たとえ大勢から喝采を浴びようと、日常に入り込んでしまえば「飽き」から逃れるのは至難の業なんです。

アーティストは自身への変化を求める

では「飽き」にぶつかったアーティストはどうするか。ここで多くの人は「独自プロジェクト」を立ち上げます。

たとえば動ける身体の基盤のある人であれば、サーカスアクトを率先して習得しにいきます。エアリアル*2、ロシアンバー*3、フライングトラピス*4など、選択肢はたくさんあります。

また趣向を変えてジャグリング、縄跳び、シルホイールなどの専門アクトを練習するアーティストもいます。こちらの方が習得に時間はかかりますが、一度身に付けてしまえば他と差別化ができるんです。

こうした独自プロジェクトを行うのは、自身への変化を求めているからです。

どんなアクトも最初は初心者。時間をかけて練習すれば着実に上達し、一定の変化を得ることができます。また運良く他のポジションが見つかれば、新しいショーやアクトに挑戦することができます。

だから、ショーの空き時間は多くのアーティストが率先して練習をしています。しかも皆「自分の専門外」のアクトの練習をするんです。

おわりに

http://www.flickr.com/photos/37763580@N05/5664958093
photo by Mandee Carter

いくら傍から見ればど非日常と思える世界でも、変化が無くなれば飽きてしまう。でも飽きること自体が悪いワケじゃありません。そこからどんな選択をするかが大切だと思うのです。

どうやらこの事実をシルクドソレイユも理解しているようで、新しいプロジェクトを始めることに非常に好意的。新しく学びたいという意欲を、いろんな形でサポートしてくれます。

ただそれは自発的にプロジェクトを始める人に限った話。学ぶことを強制したり無理強いすることはありません。つまり「求める者」のみに与えられる環境なのです。

上達や進歩も変化です。なんとなく「飽き」が日常に入り込んでると感じる人は、どこかで「独自プロジェクト」を始めてみてはどうでしょうか?

*1:専用の常設シアターのみしか公演しないショー。

*2:空中にモノを吊るした状態で行う演技の総称

*3:細いバーの上で宙返りをするアクト

*4:空中ブランコのこと