こんにちは!縄跳びパフォーマーの粕尾将一(@macchan8130)です。
縄跳びはマイナースポーツです。ダブルダッチは年々競技人口が増えていますが、それでもまだ一部のメジャースポーツに比べれば小規模。
マイナースポーツをしている人は「普及させたい」「もっと有名にしたい」という想いを持っているハズ。自分も縄跳びがもっと広がれば良いなぁと心の底から思っています。
ところで「普及」=「競技人口を増やす」という意味に繋がると思うのですが、そもそもなぜ我々は普及をしたいと考えるのでしょうか。実は普及といっても、方向性を取り違えると危険な道に進んでしまうと思うのです。
競技人口増やしたい!の本音は?
以前、剣道がオリンピック種目を辞退している例を上げて「全てのスポーツ種目がオリンピックを目指すべきか?」という記事を書きました。この記事では、オリンピックに選ばれる利点として注目度が上がることを挙げました。
■参考記事:全てのスポーツ競技は「オリンピック種目」を目指すべきか?
単純に競技人口を増やせば、大会に出場選手が増えます。また競技に必要な用具や関連商品を買う母数が増えます。つまり、競技界全体で回るお金が比例して増えていくんです。
また人の集まる場所にはお金が生まれます。10人より1000人を集客できる方が企業広告を出すメリットがある。チケットを買う人が増えれば直接的な収益が増える。さらにメディアに注目されれば、いっそう好循環を生んでいく。
競技人口が増えていくことで、スパイラル的にお金が回る仕組みができるのです。
商業的に成功することの利点
こうして競技人口が増えていけば、周辺産業にお金が回るようになります。人を養うだけのお金が集められれば、専業で食べられる人を生み出せます。
すなわち事業として採算が取れ、商業的に成功するためには競技人口を増やすことは不可欠なのです。
なでしこジャパンがW杯で活躍したとき、アルバイトをしながら競技に打ち込む選手の姿が取り上げられました。アメリカの場合は専業として成り立ち、競技練習に専念できるのに日本はそれができない現実があるという話題でした。
しかし競技をしながら報酬が得られる人なんて、本当に本当に一握り。サッカーや野球、それこそオリンピック種目になっているメジャースポーツでもなければ、遠征費用も強化費用も出ません。実費で世界大会に出場している選手のほうが圧倒的大多数なのです。
この意味で商業的に採算を取れれば、トッププレイヤーに競技に専念してもらうことができます。システムができれば国際競技力を飛躍的に高めることもできます。
ジュニア競技者の争奪戦がはじまる
すでに商業的に成功しているメジャースポーツは、黙っていても競技者が集まっていきます。学校に部活もあり、地域にクラブチームだってあるケースが多い。
しかしマイナースポーツではどうでしょうか。部活がある学校が一握り。自分は未だに「縄跳び部」がある学校を効いたことはありません。
するとジュニア層の争奪戦になってしまうんです。なんとか我らの競技に!という思いで各種スポーツ団体が、小中学生を囲いに入る。競技人口を増やすためには、なんとかしてアピールをする必要があるんです。
普及させたい本音はどこにあるのか?
競技人口を増やせば、ダイレクトに業界内に回るお金が増えていきます。でも、人数を増やすことばかりに気を取られてしまうのはどうなのでしょうか。
競技を普及させたい!と思っている人は「やっべ、これメチャメチャ楽しいんだけど!!」みたいな感覚を持ってるはず。そこから派生して「この楽しさをもっと色んな人に知ってもらいたい!」に進むのは自然な流れだと思います。
しかし「競技人口を増やすこと」が目的に入れ替わってしまったらどうでしょう。ジュニア層の争奪戦だけでなく、勝手な価値観の押し付け、引いては競技内での抗争にも発展していくと思うのです。
スポーツ競技を、維持・運営していくにはお金は絶対に必要です。しかし根幹にある「目的」がスレないよう気を付けたいものです。