人が美しさを感じる「動き」には共通点があります。
あなたがパッと思いつく「美しい動き」をしている競技は何でしょうか?
美しさの基準は存在する
美しさの基準なんて個人や価値観で異なると思われがちです。本当にそうでしょうか?美しさを基準に据えている採点競技では、いずれにも共通する2つの動きがあると思うのです。
それは「体操」と「ダンス」。
例えばフィギュアスケートの上半身の動きはバレエが基盤にあります。シンクロナイズドスイミングもバレエが基盤にあり、その上で体操の要素を取り入れています。
またこれらの競技では表面的にバレエや体操の動きを真似しているワケではありません。つま先を伸ばすのが美しい、宙返りの時は膝を閉じるのが良いなど、「良い動き」「悪い動き」という感性・基準・美意識を取り入れているのです。
縄跳び競技はどうか?
今の縄跳び競技には「美しさ」の基準がありません。何をもって美しいと判断するかの基準が存在しないのです。
ただしこれは仕方のないことで、縄跳びにおける美しい動きとはなにか?という哲学的な問いに答えられないからです。すると「ミスがなければ美しいんじゃね?」「ロープが綺麗なら美しいんじゃね?」といった「技」に関連する事ばかり焦点が集まってしまう。結果「いかに難しい技をミスなく跳ぶか」に多くの比重が掛けられるようになります。
一方で世間の人が「美しい」と思う動きの基準がある。
だったら他の採点競技に見習って「美しさの基準」を拝借してしまうのはどうでしょうか。
判断基準を取り入れる
取り入れると言っても「つま先を伸ばせ」「宙返りで足が閉じろ」という字面だけではダメです。どうしてこの判断が生まれるかの基準を取り入れることが重要なのです。
なぜ膝を伸ばすのだろうか?
なぜつま先を伸ばすと良いのだろうか?
なぜ着地でバランスを崩してはいけないのか?
判断基準を持つことでこれらの「なぜ?」に答えることができます。引いては縄跳びで美しいとはどういうことか?の問いに答える道標になります。
見る、を促すスポーツに
今後、スポーツではいっそう観客を楽しませることが求められます。観客が見て楽しい・感動するといった要素が不可欠なのです。
しかし技に偏重しつつある縄跳び競技にはこの要素が大きく欠けています。技の発表会に人は集まりません。観客が求めるのは技の難易度だけではありません。見たくなる演技です。美しい演技です。
極めた動きには美が宿ります。しかし「極める」と「効率よく失敗しない」は必ずしも一致しません。
将来の向かう先
先日面白い試みを見つけました。
下の映像はヨーロッパの協会が主催した「Rope Skipping Show Contest」という大会です。
【競技の様子】
砕けて言えば「縄跳びパフォーマンス」の大会です。単縄でもダブルダッチもあり。コンテストと称しているので日本のDouble Dutch Contestを意識してのことでしょう。
見るを促すスポーツとして日本のダブルダッチは非常に優れたモデルケースです。こうして世界中でコンテストの波が広がっているのが何よりの証拠。
その背景にあるのは「ストリートの文化」です。ストリートという盤石な価値観や判断基準がダブルダッチをガッツリ下支えしているのです。
今こそ縄跳び競技は「美しさの判断基準」を取り入れる時期。世界に誇るダブルダッチを生んだ日本なら、縄跳び競技に新しい価値観を入れることが出来るではないでしょうか。