古今東西、名言と呼ばれるフレーズはたくさんありますよね。Mrインクレディブルやトイ・ストーリーで有名なピクサー・アニメーション・スタジオにも有名な名言がありました。
「プロセスを信じよ」
さまざまな要素が絡むクリエイティブな作業には、必ず困難や失敗がついてくるが、「プロセス」に従って進めば切り抜けられると信じても良い「物語が一番偉い」
技術であれ、物品販売のチャンスであれ、何であってもストーリーの妨げになってはらならない
これらの名言は同社の「トイ・ストーリー2」の成功を大きく助けました。しかし同時に、これら名言には注意しなければいけない落とし穴があります。
名言に頼りすぎる落とし穴
人は格言や逸話が好きだが、実際の行動や意味をそれにすり替えているにすぎない
本質を突いた名言には力があります。短くまとめられたフレーズを聞くだけで力が湧いてくる気がする。自分も頑張ろうと意欲をかき立ててくれます。
しかし本当に大切なのは「じわぁーー」っと心に言葉を染みこませた瞬間ではありません。言葉を受け、どのように行動するかが本来重要なのです。
上達するには泥臭い練習や反復が必要。当然ながら名言を10000個知っても何かが上達するワケじゃありません。にも関わらず名言の魔力により、何となくデキるようになった錯覚に陥ってしまいます。
名言とはスーツケースの取っ手である
この状態をピクサーではスーツケースを使って表現しています。
取っ手と本体が数本の糸でかろうじてつながっている古くて重いスーツケースがある。その取っ手は、一見、的を射た奥深い言葉のように思える「プロセスを信じよ」か「物語が一番偉い」を表し、スーツケースは、このフレーズに飲み込まれてしまったあらゆるもの──経験、深遠なる知恵、努力のすえに得られる真実──を表している。
スーツケースより取っ手のほうが何倍も持ち歩きやすいのだ。
「取っ手」をいくつぶら下げても、その後ろには何もついていなければ意味がありません。本当に必要なのはズッシリと重たいスーツケース本体。
耳触りの良い言葉に飲み込まれ、あたかも名言を知っただけで成長し、一回り大きくなったかのように錯覚をするのです。
名言とは取扱いに注意の劇薬である
TwitterやFacebookが浸透し、名言が身近になりました。しかし名言は取扱い注意の劇薬に似ています。
フレーズを目にして「いい言葉だなぁ」と感動するのは良いでしょう。しかしそれはあくまで一時的な感動に過ぎないことを忘れてはいけません。その人はどのような過程を経て名言を紡いだのでしょうか?どれだけの人生の時間を費やして到達した知恵を名言に込めているのでしょうか?
たとえば、
夢や目標を達成するには、1つしか方法がない。
小さなことを積み重ねること。
というフレーズがあります。これにはどのような意図が込められたのでしょうか?「そうだよなぁ、小さいことでも積み重ねれば、いずれは成功できるんだよなぁ〜。」ぐらいに考えている人は、もう少し深く掘り下げてみてください。
イチロー選手はどれぐらいの時間を積み重ねたのか、どのようなことを積み重ねてきたのか。そしてこの名言を受け、今後のあなたの人生で何をどのように積み重ねますか?
言葉に頼りすぎて、問題にきちんと向き合わなくなっている。
我々は、「物語が一番偉い」と言っただけでなく、本当にそう信じてそのように行動してきたからほかと一線を画すことができた
フレーズに感動するだけは、ただ言葉に振り回されているだけ。一時の感動に浸っても何も変わることはありません。名言はあなたの人生に取り入れ行動してはじめて、素晴らしい成長をもたらしてくれます。
ピクサー流 創造するちから―小さな可能性から、大きな価値を生み出す方法
- 作者: エド・キャットムル著,エイミー・ワラス著,石原薫訳
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2014/10/03
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (9件) を見る