こんにちはー。
縄跳びパフォーマーの粕尾将一(@macchan8130)です。
今年もWorld Jump Rope2015がParisで開催されましたね。Double Dutch Contest World 2015の同時開催もあり、日本から多くのダブルダッチャーが参加したことと思います。
今回は、その中でどうしても触れておきたい動画を紹介します。
<#WJR2015# HOT DOG USA
Posted by Christophe Crisprod on 2015年7月24日
単縄の個人フリースタイル、アクロバットが得意な選手の演技です。最初の一発目で「後方二回宙返り」をしています。みなさんはこの動画を見て、どのような印象を持つでしょうか?
正直この話題を出すのに躊躇しています。でも今声を上げないと、もっとヤバくなる。だからこそハッキリと言います。「一部の極端なアクロバット偏重は禁止するべき」と思うのです。
問題点1:危険性
これまでも、縄跳び・ダブルダッチの歴史でアクロバットのレベルは飛躍的に上がってきました。日本のダブルダッチ。そしてアメリカの単縄。この両方が新たな技を開発し、世界を牽引してきたのです。
自分はアクロバットのレベルが上がるのに異論はありません。ですが、その危険性を十分に踏まえた上で取り組んで欲しい。
華麗なアクロバットで有名な「男子新体操」では、ジュニアは前方宙返りからダイレクトに前転に入る「前宙転」は禁止技になっています。またフィギュアスケートでは縦回転の技が全面禁止です。
これらは危険性を踏まえた上で、競技規則に反映されたものです。
いまの縄跳び・ダブルダッチ界で、アクロバットに厳しいのは日本だけ。自分は、このまま行くと縄跳び・ダブルダッチが「危険なスポーツ」への階段を駆け上がっていくのでは?という危機感を覚えています。
2010年、日本のダブルダッチ界を揺るがした事故がありましたね。この教訓を踏まえ、日本では「危険なアクロバット」に対して厳しい姿勢を取るようになりました。
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しかし世界はまだ追いついてません。むしろ日本のハイレベルなアクロバットを見て、無茶な技を真似してくる選手が出てくることが予想されます。
誰かが止めなければ暴走します。
問題点2:パフォーマンス性の低下
危険なのはもちろん、未熟なアクロバットは見た目に美しくないんです。
World Jump Rope 2014がフロリダ開催だったので、会場まで観戦に行きました。
トップ選手は綺麗かつハイレベルなアクロバットをしています。でも未熟なレベルで無理矢理にやってる選手も少なくない。ゆえに演技中にアクロバットで失敗し、途中棄権する選手もいました。
残念ながら、アクロバットのパフォーマンス性は自己満足の域を出ない選手が多かった。一緒に見に行ったシルクの同僚も「(悪い意味で)これが世界大会なの?」と顔を曇らせる始末。
十分なトレーニングを積み、安全かつ美しいアクロバットは人々を魅了します。それこそNick Wodard選手ぐらいのレベルなら誰しもが認めることでしょう。しかし一方でアクロバットは諸刃の剣。半端な熟練度や失敗は、パフォーマンス性を急激に失わせます。
■関連動画:World Jump Rope 2013 in UCF orlando [Nick Woodard] – YouTube
たしかに空中で回転するあの感覚は、すっげー快感なんですよね。しかも観客が盛り上がる。一度やると病み付きになる気持ちも十分に理解できるんです。かくいう自分もロン宙で落ちて頭蓋骨にヒビが入ったり、脳震盪を起こしたり、前宙の着地でミスって前十字靭帯断裂したり、アクロバットで怪我をいくつも経験しています。
ただ、縄跳びも中途半端、アクロバットも未熟な演技。これではパフォーマンス性が下がるのも無理はありませんよね。
これから日本が牽引したいコト
世界の縄跳び・ダブルダッチ界を見渡すと、アクロバット偏重の演技が増えている印象です。なぜなら「ルール」がそうなってるからなんです。
大会で高得点を取るのにはアクロバット偏重にならざるをえない。回って跳んでナンボの試合になっているんです。この流れは縄跳び・ダブルダッチ全体に言えることです。
この点、日本はアクロバット偏重だけでない演技を創造し続けています。アクロバットをするチームも依然として多いですが、安全性や危機管理に関する意識は世界で最も進んでいると思うのです。
これら日本が持つ「アクロバットだけに頼らないスタイル」「アクロバットへの危機管理意識」を世界スタンダードにしたい。世界は、まだまだアクロバット偏重の傾向が強いんです。
これまで日本は世界を牽引する集団として、多くの技やカルチャーを世界に発信してきました。
これからはその中でも「安全性」「危機管理意識」の二つ強く発信し、世界に訴えかける存在になっていきたいです。