こんにちは。日本なわとびアカデミーの粕尾将一です。

最近はなわとび教室やなわとび競技の話題が多かったのですが、自分は今も現在進行形でなわとびのパフォーマンスの仕事もしています。

つい先日、2026年9月のシルバーウィークには「Laboratoire de Cirque(ラボラトワール・ドゥ・シルク)」という作品で、イオンモール豊川にてなわとびのパフォーマンスをしてきました。

なわとびのパフォーマンスというと、なかなかイメージが湧かない方もいらっしゃるかもしれません。自分はもともとシルク・ドゥ・ソレイユというサーカスでなわとびをしていた経験もあり、人前でパフォーマンスをする専門家でもあります。

とはいえ、自分も今年で40歳になりましたので、パフォーマンスについて色々と考えることも増えてきました。

40歳の身体と向き合い、技術を維持する練習

パフォーマンスをする以上、身体を作っていく必要があります。

今回のパフォーマンスに向けても、かなり綿密な準備と練習を重ねてきました。具体的に何をしているかはInstagramなどで不定期に練習の様子を上げていますが、やはり若い頃のようにおいそれと本番で技を跳ぶことはできません。

https://www.instagram.com/shoichi.kasuo

人前で演技をする以上は三重跳びや四重跳びといった技をお見せするわけですが、それらをしっかりと披露できるレベルに維持しておくだけでも、この年齢になってくると結構厳しいものがあります。

ではどうやって維持するかというと、これはもう練習しかありません(笑)

答えのない世界で「クリーンな演技」を突き詰める

では、この年齢になってどんな練習をしているのか。

いわゆるなわとび競技の練習とは種類が違い、ある意味では競技よりも難しい練習をしていると感じています。

なわとび競技の場合はルールが決まっており、それに則って構成を作ったり記録を伸ばすためのトレーニングをしたりします。一方でパフォーマンスの練習にはルールもなければ、記録に残るわけでもありません。

目の前のお客様にいかに楽しんでもらうかが主眼であり、「自分が何を表現したいのか」という自問自答の世界になります。

そういった意味では、競技よりも非常に答えが曖昧な世界です。その中で自分なりの基準を見つけ、そこに向けて練習していくことになります。

40歳になった今現在、自分の中で大きな命題としているのが「ミスをしないクリーンな演技」です。

なわとびは演技中に引っかかってしまうと、誰の目にも明らかに失敗したと分かってしまいます。

「振りを間違えた」「動きが少しズレた」というレベルではなく、ロープが絡まってしまうわけです。これをできるだけ避けるため、自分の演技をとことんまで磨き抜くことを練習の主眼に置いています。

「技の凄さ」ではなく「伝わる凄さ」

もう一つ、この年齢だからこそ言えるのは、縄を回す技術だけでなく、表現力によってお客様にどのようにエネルギーを届けるかを強く意識しているという点です。

技の難易度だけで言えば、正直なところ自分が指導している小学生の競技選手たちに比べても圧倒的に簡単な技ばかりです。

競技の現場では、四重跳びや下手をしたら五重跳びを跳ぶ小学生もいますが、パフォーマンスの中で自分はそういった技をあえてやっていません。

パフォーマンスで見せるべきものは「技そのものの凄さ」ではなく「伝わる凄さ」です。

なわとびの技の凄さは非常に細かくて速いため、一般的には「何をやっているのか分からない」と言われてしまいがちです。だからこそ、シンプルかつ分かりやすく伝えて、「これはすごいんだぞ」というコミュニケーションを取ることがパフォーマンスになります。

競技のルールを持ち出して「難度が低い」「D点(難度点)がどうだ」と言えば、確かに選手の方が難しい技をやっています。しかし、選手たちがいかに難しい技をミスなく跳ぶかを追求しているのに対し、パフォーマーはいかに一つひとつの技をお客様に届けて感動してもらえるかを大切にしています。

ここで目指す目的が変わってくるのです。

ステージに立つ「フォルムすべて」がパフォーマンス

指導をしていると、「人前でパフォーマンスをしてみたい」と言ってくれる後輩たちもいて、彼らが挑戦する姿を見るのはとても嬉しいことです。

ただ、自分は5年半、約2,500回ほどシルク・ドゥ・ソレイユの舞台でショーをしてきましたが、最初のうちはどうしても技にこだわってしまう時期がありました。それが回数を重ねるにつれて、技そのものではない「見せ方」を身につけていきました。

競技出身者はどうしても難しい技を見せたがるものですが、「そこではない」と気づくには、競技とは違った頭の使い方や、「人に見せるとは何か」を一から学び直す必要があります。

立ち姿や歩き方ひとつ取ってもパフォーマンスになります。

縄を回すことだけがパフォーマンスではなく、ステージに存在しているその佇まいやフォルムすべてをパフォーマンスにするというのは、決して簡単なことではありません。

競技の第一線を退いた選手たちにも「こういう表現の世界もあるんだ」という背中を見せ続けられるよう、40歳を超えた今も、できる限りパフォーマンスの舞台に立ち続けたいと思っています。

すでにベテランのパフォーマーとなってまいりましたが、子どもたちに背中を見せられるようなパフォーマンスをこれからも続けていきます。

本日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。