ここんとこ、シンドイ。
たまーにくるんだよね。
スランプってやつ。
縄跳びのアクトで一番目立つ場面がある。
アクトの最後にある複合技で、自分たちだけじゃなくてHouse Trompを多く絡めてやる技。
House Tromp
ラヌーバで言うと、パワートラック・トランポリン・空中ブランコ・ティシューのアーティストのこと。
House Trompは運動神経が良いとは言っても、縄跳びのプロではない。
加えてショーの状況によっては頻繁に配置換えもある。
すると、たまーに失敗を繰り返す、負のスパイラルが発生する。
◆◇
縄跳びって思った以上に繊細だ。
たとえば足を少し開くとか、洋服の裾が広がってるとかで簡単に引っかかる。
自分自身の場合なら練習で制御できる。
けど、人に合わせるとなると全く違った神経を使うわけで。
相手の動きは予想できる。
でも時に、予想していない動きをすることがある。
全てのショーは一発本番のライブだからね。
乾燥しててステージが滑るとか、偶然足がもつれたとか、
人間、時には失敗もするさ。
でもミスが何度も何度も重なると、全体の空気だって悪くなる。
こっちも何とかしようと努力するけど、
自分のことを客観的に見るのってすげーー難しい。
幸いなことにシルクドソレイユでは毎回のショーをDVD映像として保存している。
ショー後も10分もしないうちに確認できる。
もう必死になって映像を見て原因を突き止めようとするわけさ。
スローモーションとか巻き戻しとかしまくって。。。
でも見つからない時って、いくら映像と睨めっこしてもダメなんだよね。
結局、的確な原因は分からないままでショーに向かう。
同じようなミスを繰り返す・・・
空気はさらに悪化する・・・・(涙)
はいスランプへの坂道、一直線。
◆◆
自分的にラヌーバで「マネージャー」的な立ち位置を選んでいる。
ラヌーバ「なわとびアクト変革計画」 第三弾 ~マネージャーとしてのソリスト~ – なわとび1本で何でもできるのだ
ソロのアーティストであると同時に、縄跳びの専門家であること。
ゆえに技術的な課題に関しては、コーチを通じて口出しをさせてもらっている。
けど今回のケースは、
マネージャーとか言ってる自分自身に問題がある。
仮に反対の立場だったら、周囲の人と同様に不機嫌になってただろうなぁ。
だっていつもは偉そうにあーだこーだ口を挟むくせに、
いざ自分の事となったら解決できない。
本当に専門家なら、自分のことぐらい何とかしろよって。
この感情は理解できるし、
きっとそう思われてるんだろうって痛いほど感じる。
でも、当事者としては本当にどうしようもない。
考え得る全ての策を講じても、どうにもならない。
そりゃそうだ。
一人の人間が考え得る事なんて、たかが知れている。
んなことを考えて、
一人でドツボにハマっている間にも、次のショーがやってくる。
◆◇
ドツボにハマっていくと、無意識に自分を守る「本能」みたいのが働き出す。
これがすごい厄介で、
人のせいにしたり、自分の頑張りを正当化しようとしたり。
HouseTrompは縄跳びのスペシャリストじゃない以上、彼らなりに全力を出してもらうしかない。
それでも「可能な限りの理想」を要求してしまう。
数センチ単位での立ち位置とか、まどろっこしいタイミングとか。
縄跳びを10年もやってれば呼吸するみたいにできること。
でも、それが全ての人に簡単なワケじゃない。
頭では分かってるし、理解もしてる。
それでも「なんでこんなことができないんだ!!」って怒鳴り散らしたい。
過去にも何回か逆切れした。
ほんの些細なことだったし、ごもっともな意見だったけど、感情の制御がきかなくて。
「こっちだって必死なんじゃ!!!」って。
向こうだって必死だっつーの(笑)
◇◆
こうした状況に、
中にはアドバイスをくれる人もいる。
でもせっかくのアドバイスを生かし切れなかったり、
アドバイス自体を貰いにくい雰囲気を作ってしまった。
本人は無意識だったけど、どこか「専門家風情」を装ってる節があった。
誰だって、自分より詳しそうな人に意見するのは気が引ける。
あとは自ら人にアドバイスを貰いに行く姿勢も足りなかった。
縄跳びこそ専門じゃないにしても、みな運動のスペシャリスト。
動きを見抜く力に長けている人ばかりだ。
たかが一人の専門家が悩むより、
たとえ専門外であっても見る目のある人が3人揃ったほうが、
そりゃいいアイディアや意見が出るよね。
まだスランプは抜け出せていない。現実は過酷だ。
どんだけ時間がかかるかは分からないけど、
まずは「専門家風情」を取り払うところから始めてみようと思う。