今の職場には世界中から同僚が集まって仕事をしています。
共用語は英語が共通になっていますが、時には相手の言葉を使って挨拶を交わしたりします。自分にも「こんにちは!」と挨拶をしてくれる友人がいて、こちらも相手の母国語で挨拶を返します。これは多国籍チームゆえのコミュニケーションです。
ただ、中には「ニイハオ」と挨拶をしてくる同僚もいるわけで…。もちろん自分が日本人だというのは知っているんですけどね。日本人である以上、やはり中国語で挨拶をされるとどこか不愉快。しかしこれは、わりと日常的に発生する現象なんです。
アジアという地域にイメージが薄い
まず初めに、同僚には何の悪意もありません。むしろこちらの言葉で挨拶をしようとしたぐらいなので、親しみを持っていると言っても良いでしょう。
ではなぜ日本語ではなく中国語で挨拶をしてきたか?単純に間違いということもありますが、それ以上にアジアは日本人の思っている以上に浸透していません。
日本と言っても具体的にイメージできる人はごくわずかで、よほどの親日家か日本旅行経験者に限られます。その他大多数の人は「日本?あー、HONDAとSONYね」程度の印象しかありません。加えて中国と日本の位置関係も正確に把握している人も少ない。両方アジアだから近所なんでしょ?ぐらいのイメージが殆どです。
近隣国同士の言語が近い場所が一般的
日本人には想像しにくいですが、諸外国は隣接する国同士で似た言語をしゃべる場所が多いんですよ。多少の単語の違いこそあっても殆どのニュアンスが通じる。文字で書き起こさなければ発音は同じ、なんてことも多数。たとえば旧ソビエト圏の国々も類似した言葉をしゃべる国が多くて、あの地域は多くの国でロシア語が通じます。
南米やヨーロッパの一部も同様で、違う出身国同士が同じ言葉で会話する光景を頻繁に目にします。
こういう感覚を持った人々からは、同じアジア人同士なら似た言語を使うんだろう?という想像が生まれるんです。するとアジア圏で知っている言葉の1つで挨拶すれば大体みんな通じるんだよね?という解釈になるわけです。
自分たちも気付かずにやっている事がある
実は、我々も似たようなケースで相手の感情を逆なですることがあります。
たとえば我々は「外人さんはみんな英語をしゃべる!!」という根拠のない幻想に囚われています。しかし、世界には英語をしゃべれない人も、(あえて)英語をしゃべりたくない人だって居るんです。にもかかわらず、外国の人と見た途端にドヤ顔で「How are you??」と話しかけるのは、上記の「ニイハオ」と挨拶してくるのと同じ状態ですよね。
他にも、たとえば事前情報でロシア語を話す人だと聞いたとしましょう。しかし正確には「ウクライナ語」だった。昨今のロシア・ウクライナ情勢を見れば、ロシア語で挨拶をした時に相手がどんな感情を抱くかは明らかです。
相手の敬意には敬意で返したい
未だにアメリカ生活で「ニイハオ」と挨拶される機会は多いです。
やはり「ニイハオ」と言われると、とっさに「オイコラ、日本人だ!」と言いたくなる。でも実は「ニイハオ」と言ってきている段階で敬意や親しみを持っていると思うんです。だからまずは、相手のこうした想いを汲み取りたい。
もちろん会話を進めながら「自分は日本人で挨拶は『こんにちは』だよ」って説明します。でもまずは、思いやりを持って「自分たちに合わせた挨拶」をしてくれた彼らに、感謝と敬意を返すのが人間同士の付き合い方だと思います。