こんにちは!縄跳びパフォーマーの粕尾将一(@macchan8130)です。
やや出遅れましたが、ブログ界隈で話題の例の本を読みました。実体験を下敷きに、ココロに沁みる記事を執筆されるICHIROYAさん(id:yumejitsugen1)の著作です。
- 作者: 和田一郎
- 出版社/メーカー: バジリコ
- 発売日: 2015/04/10
- メディア: Kindle版
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書籍化の少し前にブログを見つけ、その後は食い入るように読ませてもらっています。
シルクドソレイユは企業です。ショービジネスを展開する組織です。外見こそ目立つ仕事ですが、内実はICHIROYAさんが指摘されている「組織である事実」がズバズバと当たっているんです。
ライバルが同期入社とは限らない
シルクドソレイユで出世?と言うとピンとこないかもしれません。世間で言う出世とは意味合いがズレるかもしれませんが、アーティストにも昇っていく階段があります。
それはポジション争い。スポーツでいうの「スタメン」「ベンチ」のように、見えない所で熾烈なポジション争いが繰り広げられています。
たとえば自分が狙っているキャラクター*1やソリスト*2もポジションの一つです。ここでは、バックアップ*3に選ばれた人が有利にチャンスが回るようになっています。よってアーティストたちは、ポジションを掛けてバックアップの椅子に座ろうと戦います。
しかしここには、新卒一括採用の企業と大きく違う点が一つあります。それはライバルが同期入社とは限らないこと。気持ちさえあれば誰しもがライバルになり得るのです。
自分はレコンというキャラクターを目指してオーディションを受けました。そこに現れたライバルはラヌーバ出演15年の経つベテランから、入って数年の新人まで実にさまざま。
ここでは「よーいどん!」で一緒に走り出した人がライバルとは限りません。既に豊富な経験を積んだ人、圧倒的に条件に有利な人など、実力と条件が合う人のみが勝ち残るシステムなのです。
上司と上手くやる技術
戦いが始まった瞬間に完全不利に立たされることも少なくありません。それに加え、ICHIROYAさんが指摘するように「不完全な目」によって不遇の対応をされることもあります。
いい仕事をしさえすれば、上司や人事部がそれをちゃんと把握していて、いつかは自分にふさわしい部署に異動させてくれるものだと思っていた。
それはある意味正しい。ただし、自分の仕事ぶりが他の人たちの何倍も優れていれば、だ。けれども、比較的優れているという程度なら、それを正確に見ている神の目は会社には存在しないのである。あなたを見ているのは、不完全ないくつかの目に過ぎない。
たとえば以前、Orlando Balletとのコラボレーション企画で辛い思いをしました。ダンサーとして手を挙げたにも関わらず、回ってきた仕事は黒子として大きなお面を持つのみでした。
■参考記事:市場から選ばれない人材:足りないのは能力や価値でなく「想像力」
しかし、実はこの一年前は違う状況でした。自分の思い描くキャラクターとしての出演が叶い、満足感をもってステージに立つことができたのです。
■参考記事:【キャラクター挑戦】Choreographers’ Show Case 2013
この二年での大きな違いはICHIROYAさんも指摘されている「口頭表現力」でした。ダンサーとしての市場価値が乏しかった分、人選を任されている人物に具体的なアプローチを仕掛けたのです。
真っ向勝負で行けば、何年経っても同じ端役しかできなかったことでしょう。裏道のようでゲスい感じはありますが「人」に向かってアピールしたことで結果が大きく変化しました。
最近読んだ別の本にもこんな事が書かれていました。
どんなに善であっても、弱ければ負ける。「そんな社会は間違っている」と口先ばかりでいっても始まらない。そうならないよう社会を変えるしかない。
こんないい時代に、いまだに悪い人間をはびこらせているのは、善人が弱いからだ。工夫が足りないからだ。賢くないからだ。むしろ悪人のほうが賢く生きている。
勝てば官軍とは身も蓋もない言葉ですが、要所でずる賢くなる知恵も必要なのだと思います。
■関連記事:「ずる賢いヤツ」になりたい
戦いである覚悟
悪人のススメでは「負けないしたたかさ」が強調されています。文脈は違いますが、ICHIROYAさんの主張にも通じる部分があると思うのです。
ゴルフとワインを嗜むことで有利になるなら、利用すればいい。口頭表現力を磨いて評価が上がるなら、活用すればいい。ズルはしたくないと叫ぶのは自由です。最初から戦いに臨まないのも選択の一つでしょう。
しかしいったん競争の中に身を投じたのであれば、自分を誤魔化さない「覚悟」が必要なのだと思います。