なわとびパフォーマーの仕事論

あなたは「実績」を活用できてますか?せっかくの武器でかえって損をする場合も…。

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こんにちは!縄跳びパフォーマーの粕尾将一(@macchan8130)です。

ここ数年、シルクドソレイユに出演する日本人アーティストがとても増えました。男子新体操しかり、ダブルダッチしかり、こうして世界の舞台に日本人が増えるのは嬉しいことです。

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ただ同時に、今後は日本人シルクドソレイユ出身者同士の競争が予想されると思うんです。ネームバリューや実績として出演経歴を使う人はドンドン増えていきます。既に軽いインフレ状態に陥っていると言えるかもしれません。

そこで今回は「類似した実績を持つライバル同士の戦略」について考えてみたいと思います。

シルクドソレイユ関連の実績

まずシルクドソレイユに関連する実績はざっとこんな感じですね。

1.登録アーティスト
⇒オーディションを通過した人

2.出演アーティスト
⇒過去にイベント、もしくはショーに出演した人

3.現役アーティスト
⇒いま、まさに出てる人

大きくこの三種類です。
一つ目の登録アーティストについては以前も記事を書きましたが、まだ出演経験がない人でも実績を名乗れるのがミソです。そして二つ目、三つ目は殆ど同じ。いずれ全員が「出演アーティスト」の実績をもって現場を離れていきます。

何を武器に、どこで活動するか?

これらの実績を活用するときに「どこで活動するか?」「何を武器にするか?」の二つの視点が大切になります。

まずは実績を持った段階でどこで活動を続けるか。たとえば日本で活動を続けると考えた場合、何年もショーに出演を続けていたらどうなるでしょうか?長期間日本を離れてしまえば、確実に仕事は消滅します。他のライバルや後輩が、あなたの持っていた仕事を取り分けてオシマイです。

もし日本拠点の活動を続けたいのなら、短期でサクッと帰るのがベストだと自分は考えています。ここで使う武器は「実績」です。一週間のイベントに出演しようが、10年間同じショーに出続けようが、「実績」という武器に差は出ません。

だったらサクッと出演し、日本で仕事を失う前にスグ帰る。そして「出演実績」を存分に活用したほうがステップアップになるのではないでしょうか。

同じことが一つ目の登録アーティストにも言えます。

悲しいことに「出演アーティスト」「登録アーティスト」で世間の評価が大きく変化するとは思えません。いずれも「シルクドソレイユだ!」という肩書が先行して、実態や違いはがどうこうは大部分の人は気にも止めないでしょう。

この意味で、実績を武器に日本を拠点に活動するなら「登録アーティスト」が一番賢い選択かもしれません。

出演アーティストの武器とは?

実績を武器にしようと考えると、長年出演しているアーティストは不利です。すでに別のライバルが仕事を持っていて、しかも実績の面では「出演アーティスト」「登録アーティスト」で世間の評価に大差はない。

他で先に実績を武器にしたライバルに先を越されれば、たとえ先にシルクドソレイユに入っていても二番煎じに成り下がってしまいます。

では長年出演したアーティストの武器とはなにか。それは「人脈」と「経験」です。

サーカスの世界は非常に狭く、多くのアーティストは複数のショーを渡り歩いています。よって一つのショーに長年居ることは、多くのサーカスアーティストと繋がるチャンスでもあります。

さらには「照明」「舞台監督」「ディレクター」など、表には見えない数多くの人がショーを支えています。ここで知り合う仲間は、長期間のショーで苦楽を共にしなければ得られない財産になります。

またステージ経験も掛け替えのない財産。ツアーショーで*1年間約350回、常設ショーで約480回。これだけの回数を緊張感あるステージで演技し、しかも間近で世界レベルの演技を見続けることが出来ます。

本番ステージとは、立つ度に発見と失敗が繰り返される場所。言語化できるモノから無意識のカンまで、ステージに立つことでしか得られない財産がここにあります。

まとめ

「登録アーティスト」または「短期出演アーティスト」の場合はダイレクトな肩書として、「長期出演アーティスト」の場合は経験から得られた知見と人脈が武器になるのかな?と考えています。

実績を活用して仕事をするのは悪いことじゃないと思います。これはあくまで戦略。個々人のステップアップに合わせて、適した方法を選べばいい。

しかし方法を間違えてしまえば、せっかくの実績も上手く活かせません。実績を得るまでも大変かもしれませんが、本当の戦いはそれをどう活用するかです。

間違っても、実績さえあれば仕事が増える!なんて勘違いをしてはいけません。

■参考記事:駆出しパフォーマーが陥りやすい「仕事はある」という致命的な勘違い

*1:世界中を回っていくテントのショー