こんにちはー。縄跳びパフォーマーの粕尾将一(@macchan8130)です。
テクノロジーの発展で、運動指導にはいろんな方法が出てきましたね。
最近ではタブレットやインターネットを使ったICT学習にも注目が集まっています。
ICTとは、Information and Communication Technology(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)の略で、日本ではすでに一般的となったITの概念をさらに一歩進め、IT=情報技術に通信コミュニケーションの重要性を加味した言葉です。
実はこれ、自分も大学院の研究題材にしたんですよ。縄跳び学習において、タブレットでお手本の映像と自分の動きと比較するとどうなるか?みたいな研究でした。
テクノロジーの発展と共に新たな学び方が提案されるのは良いことです。
しかし、手放しで歓迎できるほど状況は単純ではないんですよね。
タブレット授業の弊害
2015年の全国体力テストの結果が出まして、愛知県順位が全国で最下位になったと話題になりました。
スポーツ庁が11日に発表した今年度の「全国体力・運動能力・運動習慣等調査」で、県内の小中学生とも実技調査(新体力テスト)の合計点が全国平均を下回り、中でも小学男子は2年連続で最下位となった。
この結果の原因の一つとして、テクノロジーを活用した授業が挙げられてるんですよ。
体育の授業なのにタブレット端末を見るだけで、体を動かす機会がないこともあるという。「情報通信技術の利・活用を真面目に捉えすぎる教諭も多い」と指摘。
この背景には運動とは理解すればできるようになる、という大きな勘違いがあると思うのです。
身体とは思い通りに動かない存在
身体ってビックリするほど思い通りには動きません。
たとえば「右が二拍子、左手が三拍子」とかできますか?やったことある人はできるんですけど、初めての人は出来ませんよね?
これをデュアルタスクといいます。
デュアルタスク 二つの課題を同時に課すことを指す学術用語。 日常生活の中では、歩きながら会話をする、テレビを観ながら家事をするなどの行為がこれに当たる。
このように、人はやることを完全に理解してたとしても、案外思い通りに身体を動かせないんです。
同じとが新しい動きを習得するときにも言えます。
少しだけ足が低いとか、身体が捻じれてるとか、画面で認識して理解したところで、どうやって修正するかが分からない。タブレットなどのICT機器を活用してスロー再生させても、状況は変わりません。
新しい動きや運動を習得するには、繰り返しの動いて試行錯誤するしかありません。
まず動くこと。動いて初めて課題が見つかるし、動くことで課題が解決されます。
身体を動かさない事には何も進まない。どれだけ頭で理解したところで、身体を動かせなければ意味が無いのです。
頭で理解できなくても動ける
不思議なもので、動きの細かい事までは言語化して理解しなくても身体を動かすことはできます。
たとえば「歩くきながらスマホを操作する」なんて高度なデュアルタスクです。歩き始めたばかりの子どもに、こんな高度はことはできません。(させるかどうかは別として)
でもどうやって習得したか?どうやって体を動かしてるか?なんて深く考えたことないハズ。歩く動作を習熟しているから自然と体が動く。無理して頭で理解して言語化する必要はないんです。
理解と習得は別物
よく考えてみると、運動の分析はほとんどが結果を分解して理解してる作業なんですよ。
まず動きがある。この動きはどうなってるんだ?から分析が始まってます。
分析結果は学習の手助けになる場合もあるでしょう。タブレットやインターネットなど、ICTテクノロジーは発展しています。
しかしどれだけ知識として理解しても、身体を動かさないことには絶対に習得はできません。