英会話

英語で上手(かみて)は何と言う?海外のショービジネスでよく使う舞台での英語表現

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photo by dirkjanranzijn

こんにちは!縄跳びパフォーマーの粕尾将一(@macchan8130)です。

舞台には業界独特の表現や用語があります。上手(かみて)下手(しもて)、奈落、緞帳(どんちょう)あたりは、比較的知られている言葉だと思います。

実はこれ、英語でも同じように舞台用語が頻繁に使われるんです。少し前、日本への留学経験のある通訳の人がリハーサルに来ていました。もちろん英語も日本語もわかるんですけど、どうしても舞台用語や独特な言い回しだと「??」という感じです。

そこで今回は海外の舞台やショービジネスで仕事をしたい人向けに、舞台で頻繁に使われる独特な英語表現について紹介したいと思います。
(※)カッコ内は日本語訳

ステージ上の呼び方

Stage Right(下手) / Stage Left(上手)

まずはステージの左右について。上手はお客様から見てステージ右側、下手は左側を指す表現です。これが英語だとそのまま「Stage right/left」に変換されます。

ただここで気をつけたいのは、日本と反対で演者側から見て左右ということ。ここは日本と捉え方が逆なんですよね。ステージに立っている人から見て「右」がStage rightです。

Up stage(ステージの奥) / Down stage(ステージの手前)

これれらに当たる日本語訳を自分は知らないのですが、ステージの前後に関する表現です。こちらはお客さん側から見て、降りてくる=近づいてくるのがDown Stageで、反対に上っていく=離れていくのをUp Stageと言います。

前述のStage right/leftと合わさって「Up stage right」という言い回しもあり、より的確にステージの場所を指示できます。

舞台装置

Basement(奈落)

奈落の底に落ちる、の奈落です。舞台の地下にあるせり上げのことで、英語では「Basement」と表現します。また実際に動く部分のことを「Lift」とも言います。

Grid(天井部分)

サーカスでは天井から吊るして演技をすることが多く、その吊るす天井のことをGridと言います。ラヌーバでは9FフロアがGridになっていて、床は全て鉄格子になってステージは見えるようになっています。自分達がバンジーをするのもここからです。

稽古に関すること

Dress rehearsal(ゲネプロ)

衣装・音楽・照明付きで本番同様の全通しのことです。日本でいうゲネプロは「ゲネラールプローベ、Generalprobe:独語」から来ていて、英語だとDress rehearsalと言います。

Full(全通し)

可能な限り本番同様の動きと技、演技で全通しをすることです。技のレベルも動きのキレも本番と同じものを想定した練習です。Dress rehaearsalとの違いは衣装・照明・音響があるか無いかだけです。

Run through(全通し稽古)

演技の全体を通しで練習することを指します。こちらは振り付けや技の流れを確認して覚えることが目的。そのため難易度や精度をやや低めて、何度も繰り返し確認をします。

Marking(場当たり)

立ち位置とステージ上の場所を確認することで、Run Thoughよりもさらに前段階になります。技や振付もやらず、音楽も確認程度に流す感じ。Marking => Run Through => Full => Dress Reahearsal => 本番の順で精度と本気度が上がっていきます。

Rehearsal(舞台練習)

舞台上の練習一般のことをRehearsalと呼び、とくに全体の振付や流れの確認・微調整をする練習を指します。

Training(技術練習)

サーカスでは技とアクロバットが出来ないとRehearsalができません。なので個別の技練習、技術練習のことをTrainingと呼びます。

運営スタッフについて

Artistic Director(演出家)

舞台全体の演出をする人をこう呼びます。日本でいう演出家に当たる人で、シルクドソレイユではアーティストの振付や照明効果、音響の等にも気を配りショーの質を管理しています。

Rigger(天井の技術者)

空中アクトや舞台装置の捜査をする人で、とくに9階のGridにいる技術者の人をこう呼びます。Riggerにも特別な技能と経験が要求され、例えばTissu*1の時にモーターの操作をするのも彼らの仕事。彼らが居なければこうしたサーカスアクトができないのです。

Back stage manegement(舞台監督)

舞台上の安全や運営を仕切る人のことです。シルクドソレイユではしばしば出演者の立ち位置や配役が変更されます。なのでこの役割がなければ今日のショーすら幕を上げることができません。

まとめ

いかがでしたか?

今回紹介したのはステージに立つ人が頻繁に耳にする舞台用語でした。照明や音響などの専門的職の場合は、もっと違う英単語が使われていると思います。

別に舞台用語なんて使わなくていいじゃん…と思われがちですが、こうした言葉を使うことでコミュニケーションが円滑になるんです。ステージでどこに動いて欲しいとか、けっこう口頭で表現するの難しいんですよ。

もっと右に移動して!と言われても、客席から見て右なのかこちらから見て右なのか…イチイチ面倒くさい。でもStage rightに一歩ずれて!といえばすぐに動くことができます。今からRun Throughするよ!と言われれば、その場の全員が何をするか理解できるんです。

もし海外の舞台に立とうと考えている人、もしくは舞台の仕事で英語を使う機会がある人は、ぜひこれらの英語での舞台用語を参考にしてください。

*1:天井から吊るした布で行うエアリアル演技