なわとびパフォーマーの仕事論

プロは相手によって「仕事のクオリティ」を変化させても良いのか?

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photo by Paul Worthington

こんにちは!縄跳びパフォーマーの粕尾将一(@macchan8130)です。

たまに友人や家族がショーを見に来ることがあります。日本から遥か16時間も離れたフロリダ、はるばる見に来てくれるのは嬉しい限りです。

知り合いがシアターに居ると自然と力が入ります。もしかするといつも繰り返しているショーよりもエネルギーに満ちているかも。座っている場所が分かれば、そっちに目線を飛ばすことだって出来ます。

でも、これってどうなんでしょうか?例えば1回目のショーに知人が居たとします。エネルギー満天です。でも知人は2回目にはいません。こちらは普段通りの演技です。

もちろん、知った顔が見えれば自然と力が入るのは人情と言えるでしょう。ではここに意図的な「損得」が関係してきたらどうでしょうか?

意図的に仕事の質を変化させる

ラヌーバはシルクドソレイユの常設ショーです。もちろんチケットは有料。一番高い席だと100ドルを超えてきます。また原則的に1回目と2回目の値段が変化することはありません。つまり、どちらのショーを見ても同じ価値があることを意味しています。

ではここで「利害による意図的な変化」を持ち込んだらどうなるでしょうか。1回目は大切なお客さんが居るから良いショー、2回目は誰も居ないからなんか微妙。本来どちらも同じであるはずなのに、恣意的なクオリティのバラつきが生まれてしまうんです。

ところがライブショーゆえに、本番に意図しないミスは起こります。こうした最善を尽くした上でのズレは、誤差として受け入れてもらうしかありません。しかし「重役である」「見込み客である」など、見返りを求め下心のある変化はどうなのでしょう?

戦略的にエネルギー配分する

ただこれは「戦略的」と考えることが出来ます。

クライアントとはいえ、全てが同じ条件で仕事を投げてくるわけじゃありません。直接的に自分の評価をする上司や幹部、定期的に仕事をくれる人、人脈として繋がっておいて得しそうな影響力のある人。

この人に良くしておけば、後々自分に見返りが跳ね返ってくるという期待があるでしょう。すると、こちらから提示する条件や値段も「好クライアント」として扱うことができます。

つまり、より条件の良い仕事には普段以上のエネルギーを注ぎ、そうでもないモノにはいつも通りの仕事をするのです。来たるべきタイミングに焦点を合わせ、それまでエネルギーを温存しておく。そして、今だ!!と思う瞬間に最大出力を発揮してアピールをします。

見込みの無い相手で消費することを考えれば、もしかすると賢い戦略と言えるかもしれません。

まとめ

少し前から「プロに無料で仕事をたのではいけない」という議論が活発に交されていますね。今回の話題は、この問題を反対側から見たイメージです。

友達だから無料でやってよ、割引してよ、というのはプロやフリーランスにとって死活問題。いくつもの記事でその問題点や生活への影響が指摘されています。

では反対に「友達だから良い仕事するよ」「常連だから割り引くよ」はどうなんでしょうか?同じ値段でお願いしている別のクライアントは、きっと不公平を感じると思うのです。

★★

相手を選び、戦略的に仕事をするのもひとつのやり方でしょう。上手に渡ればチャンスや得も増えると思います。一方で仕事をお願いしているのは誰でしょうか。あくまでクライアントですよね。

プロに無料で仕事をお願いするのも問題です。しかし「自分だけ得したい」という考えが、巡り巡って自分達に戻ってきてるのでは?と感じずにはいられません。