シルクドソレイユが教えてくれた大切なコト

観客を惹きつける「ステージの重心」という考え方

パフォーマンス中、観客の視線は常に移動します。

こっちでダンスを、次はこっちでバク転を…
こんな具合に1つの場所に視線が集中し続けることはなく、常にと言っていいほど動き回っています。

では観客の視線が集まるのはどのような場所でしょうか?このステージ上で観客の視線が集中する場所を「ステージの重心」と表現します。このステージの重心は飽きない演技を創る上でとても重要な概念。人は僅か数分でも「飽きる生き物」だからです。

そこで今回は、ステージの重心の動き方、意図的な操作テクニックの一部を紹介します。

視線は目立つ所にいく

まずは下の写真を見てください。

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あなたはどこに視線が行きましたか?
きっと右から二番目のカップに行ったと思いますが、何故ですか?

そう、右から二番目のカップだけ見た目が違うのです。他の4つは折り目があるのに1つだけ無い。目立つのです。これと似たような現象がステージ上では頻繁に起こっています。

ステージの重心は後ろに流れやすい

しかし良い目立ち方だけではありません。
たとえば次の写真だと、あなたはどこに視線が行きますか?

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これはダブルダッチの演技を想定した4つのカップです。センターに居るのがターナー、ジャンパー、そしてもう1人は何もなく立っている。

さてどこに視線が移動しましたか?
最初は前の方に居た視線が、気づくと何もしていない人に動きませんか?

これも最初の「目立つ」と同じ原理で、ターナーもジャンパーも真剣に跳んでいるのに、後ろの方で何もしていない人が居ると、すーーっと重心が動いてしまいます。

しかも目立つ人が後ろに居るのが良くない。なぜならステージの重心は後ろへと移りやいのです。コメディの定石にも「前にいる人を後ろで茶化す」というのがあるぐらい、後ろが僅かでも目立つとあっという間に重心が移動してしまいます。

ステージの重心を意図的に動かす

では反対にステージの重心を意図的に操る方法を紹介します。
次の写真を連続で見てください。

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いかがですか?あなたの視線も動きましたか?

最初の写真では4人の視線がこちらを見ています。ステージの重心はこの4人にあります。そして後ろの1人も4人の方を向いています。

次の瞬間、一斉に4人が後ろの1人に視線を飛ばす。同時に後ろの1人がこちらを見ている。この瞬間に視線が後ろの1人に一気に集中する、つまりステージの重心が移動したのです。

人は集団が1つの対象を見つめているとその対象が気になります。すると視線が動くのです。このように集団が視線を集めることで、意図的にステージの重心を生み出すことが出来ます。

このようにステージ上の視線を意識することで、重心を意図的に操ることが出来ます。

ステージの重心が動かない=飽きる

ステージの重心の移動は「飽きさせない」ために重要になります。人は1つの対象をずーっと観ていることが出来ません。飽きるからです。

これはステージでも同じこと。

ステージの重心が動かないパフォーマンスとは、1点を見つめ続けさせるのと同じなのです。いくら技を組み込んでも変化が感じづらい。すると観客の視線はあちこちに散っていき、本当に見せたいポイントや演技を見てもらえなくなります。

演技中、無駄に照明や音響機材、パフォーマンスに関係ないものに目線がいくことはありませんか?

まとめ

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人は自分が見たいものを見ます。
一方でそれはパフォーマー側から仕掛けることも出来るます。

ステージの重心はそのテクニックの1つ。重心がどこにあるかを意識すると、観客があなたの演技のどこを観ているかを推し量ることができます。

ところが、観客の視線を無視した演技は「後ろにあった照明器具」に負けてしまう。

せっかくなら観客に楽しんでもらいたいのがパフォーマー。次にパフォーマンスを創る時は是非「ステージの重心」を意識してみてください。